私は、家族的というのか、俗人的というか、人間関係が濃いこ
とに抵抗をもって生きてきた。
とくに会社では、そうだった。
それでも新入社員で入社した企業の上司には仲人をしてもらっ
たのだが、私にとって尊敬できる人だった。
もっとも、会社のマネジメントに問題があったのだが、この上
司も、その流れの中に巻き込まれていた。
昭和の組織とはそのようなものだった。
私は、この会社を一人で飛び出し、ソニー子会社へ転職した。
ここで出会った上司(元社長)は、さらに尊敬できる人だった。
前社との違いは、ただただマネジメントの違いだけだっただろ
う。
前職の上司が、ソニーへ入社していれば、元社長のようなマネ
ジメントができた、と思っている。
それほど会社の組織の在り方は重要だ。
ある雑誌の記事(有料なのでその一部だけ)をなんとなく読ん
でいると、なるほど、と思えることがあった。
記事のタイトルは『配偶者の人間ドックも全額負担 「本気の
大家族経営」には人も仕事も集まる』となっていた。
配偶者の人間ドックも全額負担 「本気の大家族経営」には人
も仕事も集まる
「人を大切にする経営学会」会長の坂本光司氏を中心に、世
のため人のためになり、同時に自社のためにもなる経営を実
践するきっかけ![]()
私は、濃い人間関係は苦手なのだが、新入社員で入社した会社
とソニー子会社時代だけは、上司と元社長と家族的な関係があ
ったように思える。
自分から進んでそうするタイプではないのだが、二人には、仕
事とプライベートで大変お世話になった。
仕事は、二人とも厳しかった。
それでも豊かな人間性があり、毎日楽しく仕事に挑戦させても
らった。
とくにソニー子会社時代の元社長は、ソニーが東京通信工業時
代に入社されていたため、当時のマネジメントを色濃く残して
おられた。
東京通信工業時代は、まさに大家族経営だったようだ。
人間関係が濃く、仕事でも深い人間関係がベースにあるように
感じた。
ソニー子会社の元社長のマネジメントは、当時とそれほど変わ
っていなかっただろう。
「俺はこれかしか知らん」と話していたからだ。
そこには、大家族主義的なマネジメントが残っていた。
私は、本来、濃い人間関係は嫌いなのだが、この人と話してい
ると、仕事でも居酒屋でも、さらにこの方の自宅でも、心から
楽しかった。
家族主義のよさを教えてもらった。
本来、このようなマネジメントは、中小企業で、しかも創業経
営者ほど、家族主義的な経営ができるだろう。
やり方は、その人に合わせてやればよい。
家族主義は、社員とその家族を大切にする。
家族が喜んでくれれば、その社員も喜んで、その企業で力を発
揮してくれる、と思える。
私が苦手な人間関係なのだが、私ですら、そのよさを感じたの
だから、多くの人たちは、むしろそのような関係を欲している
のではないだろうか。
現代は、個人が分離された社会だが、それがよいという人より
は、可能であれば、一つの会社に長く勤務して、家族ともども
楽しい生活ができるのが一番だろう。
記事の社長は、世のため人のためになる経営を体現しているら
しい。
中小企業の経営は、制約が少ない。
人間の能力を発揮してもらうための家族主義は、ソニーの前身
時代がそうであったように、これからの中小企業には大事なこ
とだ、と私は感じている。
私は、そんな家族主義経営のなかで育ててもらった一人だった、
と思う。
運があった。