きょうの日本経済新聞の記事の一部だ。
『新規株式公開(IPO)市場への関心が薄れている。上場数は
減り、初値が公開価格を大きく上回る「IPOポップ」も鳴りを
潜める。主要な買い手だった個人投資家が、キオクシアホール
ディングスなど大型株に主戦場を移しているためだ。
「個人が投資対象として好むのは話題性や値動きの大きさ。キ
オクシアがここまで激しく動くなら、無理して流動性の薄い新
規上場株を手掛ける必要がない」。大阪府在住の専業投資家、
村上直樹さん(47)はこう話す。
これまでIPOは個人の「大好物」だった。IPOポップが頻発し、
公募に申し込んで割り当てられた株を上場初日に売れば利益が
出ることが多かったからだ。
今、そんな状況は一変し、IPO市場は活気がない。20日、過去
1年間にIPOした銘柄の値動きを示すQUICK IPOインデックス
(単純平均)は前日比2.2%下落し、約1年ぶりの安値をつけた。
日経平均株価は5日続落したが、この1年では6割高だ。東証株
価指数(TOPIX)も4割上昇した。
新規上場数も少ない。26年1〜4月に上場したのは14社(東京
プロマーケット除く)で、25年(21社)や24年(26社)を下
回る。うち8社の初値が公開価格を下回った。20日時点で東証
への上場を予定しているのはタクシー配車アプリ大手のGO
(東京・港、6月16日上場)の1社だけだ』
私は、2000年代にIPOを目指していた企業のなかで働いた
のだが、当時は、ITバブルの絶頂期だった。
だが、数年後にITバブルははじけた。
そもそも、IPOの実態は、企業の実態ということだが、かなり
問題があった。
それでもIPOをさせてしまう環境を、東証、証券会社、監査法
人がつくっていた。
いわば虚像だったのだが。
その後、監査法人は大きな問題を起こし、現在の有限責任監査
法人トーマツ(Deloitteメンバー)EY新日本有限責任監査法人
(EYメンバー)有限責任あずさ監査法人(KPMGメンバー)
PwC Japan有限責任監査法人(PwCメンバー)となっている。
いろいろな変遷があった。
今、ニデックの問題などが、まだあるから不思議だ。
この国の企業のガバナンスは、ひとりのワンマン経営者で簡単
に壊されほど脆弱なものだ。
昭和の時代のような予定調和(企業、東証、証券会社、監査法
人で握っていた)の時代であれば、IPO株は、確実に儲かる株
だっただろう。
現在、グロース市場における企業の成長性は低いようだ。
さらに『東京証券取引所(東証)は、新興企業向けであるグロ
ース市場の上場維持基準を大幅に厳格化しました。現行の「上
場10年経過後に時価総額40億円以上」という基準から、2030
年以降は「上場5年経過後に時価総額100億円以上」へと基準が
大幅に引き上げられます』
私がみてきた限りの狭い範囲だが、上場するに値しない企業ば
かりだった。
しかも、経営者の資質に問題があった。
グロース市場へ上場する前に、事業をきちんと成長させていく
ことが先決だ。
また、経営者としての多くの学びが欠如している人物が多かっ
た。上場以前の問題だ。
反対に、経営者として学ぶことを恐れず、着実に事業を成長拡
大させている経営者は、まわりの雑音の意味を知り、簡単に上
場しない。
むしろ、1000億円以上の売上を目指し、いきなりプライム
へ上場できるレベルの経営をおこなっている。
もちろん、まだ課題がある。
その課題を知れるかどうかは、これからの経営者の資質だ。
株式公開は、長い時間軸のなかで実践的に考え、上場レベルの
基準で行動できる経営者だけが、上場企業として成功させるこ
とができるだろう。
日本のベンチャー企業の経営者は、経営能力が低いのではない
かと思われ、事業を成長させていくための基本的な資質を欠い
ていた。
あくまで私が知る限りだ。
だから、私はベンチャー企業の経営者を支援することはない。
時間の無駄だ、と思っている。
現在の株主は、私の現役時代と違い、経営者や経営そのもを観
る目が備わっており、厳しく企業や事業を選別しているようだ。
当たり前の世界が、そこにある。