中東紛争は、原油の約95%を中東に依存するわが国を直撃して
いる。
もっとも、原油の備蓄があるため、現状は、中東の危機などど
こ吹く風か、という状態だ。
今回の紛争は、中東地域のエネルギー供給のリスクを浮き彫り
にしてしまった。
わが国のようにエネルギーを海外に依存する国にとっては、そ
もそもエネルギー確保はリスクの塊だ。
だが、危機が目の前から消えれば、いつも日常に戻っていく。
そして忘れ去られた。
私は水素派だが、もちろんMIRAIは買えない。
いまもガソリンエンジンだ。
私が知る昭和のガソリン価格は、一リットル80円くらいだった。
現在は約2倍の価格だ。
ガソリン価格の上昇は、灯油などもだが、近年急上昇してきた
ように感じる。
長期のトレンドで原油価格をみれば、2015年まで価格は上昇基
調だったのだが、2014年以降、米国におけるシェール・オイル
の増産で2014年後半から価格下落が加速した。
2015年末にWTI原油価格が1バレル=40ドル台を割り込み、20
16年初頭は一時30ドルを下回る水準まで低下する。
2017年~2019年は、協調減産による回復で原油価格は一進一退
するのだが、その後、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど
非OPEC主要産油国による協調減産(OPECプラス)が開始され、
需給バランスが徐々に改善していくことで、1バレル=50〜70
ドル台で推移していた。
わが国経済環境は、水素などの未来型エネルギーへ転換する意
欲を失い、今日まで原油の中東依存を高めた。
危機とは、油断からくることも多い。
エコノミックアニマルと揶揄されるわが国は、とにかくよい原
油を安く調達することを長く続けてきた。
リスクなど忘れていたように、あるいはリスクをみないように
することが得意だ。
リスクを言い出すと、必ず金がかかるからだ。
いつまでも中東から原油が調達できるという集団暗示のなかで
経済活動を続けてきた。
危機は突然現れる。
わが国にとって危機はよいことだ。
危機があることでしか変われないのがわが国の見事な特徴だ。
危機に遭遇することで投資の必要性を知ることになる。
変わり身もはやい。
エネルギーを輸入することは、なにも原油だけではない。
水素も将来アジア諸国で生産された安価なものを輸入しようと
考えていたようだ。
何事もご都合主義が好きな国だ。
自ら投資をしてエネルギーを国内で調達することすら考えて
いない。
この紛争は、エネルギーに対する考え方を根本から覆すことに
なるだろう。
自ら考えて、汗を流してエネルギーの確保をおこなわなければ
ならない。
経済成長が一時的にマイナスになることがあるのかもわからな
いが、自国でエネルギーを調達することを目指す必要があるだ
ろう。
グーリン水素を自国で賄えるほどの力は、わが国にないと思わ
れる。
それだけにエネルギーの供給体制に関しては多様な方向性を見
出しておかなければならない。
さらに、得意な省エネだ。
今日のメディアによれば、TOTOがバスタブの生産を一時中止
する、あるいはサランラップの値上げについて報道していた。
実際の現場は、これだけではないだろう。
ナフサなどの供給不足は、いずれ徐々に我々の生活を脅かす。
私は、荒天準備はしているのだが、今回の天候は、荒天ではな
さそうだ。
むしろ、ハリケーン並みの威力があるのではないだろうか。
リスク管理とは、将来に向けた投資だ。
生産性だけでははかれない。
そもそもリスクがないときには、リスクに対して計算ができな
いのだから、計算できない条件下で投資をおこなうからこそ、
リスクから逃れることが可能となる。
厳しい国際情勢をみながら、国民に将来に向けた投資の厳しさ
を示すのは、政治の役割だ。
自国にないもの(エネルギーや食糧など)は、国際情勢が変化
すれば、供給そのものが一気に危うくなるは必然だ。
ロシアのウクライナ侵略や中国の海外展開(一帯一路)からみ
ても、国際情勢のなかにあるリスクは、表面化していなかった
だけで、国際社会の底流にずっと流れていた、と思われる
経済優先の危うさは、日和見的なわが国のような姿勢に対して、
危機の時代には容赦ないだろう。
中小企業にとって、今回の危機は未曽有なものとなる覚悟がい
る。誰も予測がつかない。
仮に、中東紛争がはやめに収束するにしても、昭和の時代のよ
うに長く経済環境が安定することはむずかしくなる。
昭和の時代でさへオイル・ショックがあったのだが、これから
はどこで不測の事態が発生するかわからない。
中小企業ほど世界の情勢を自ら把握し、自社のポジションを決
定しておかなければならない。
中小企業の経営者は、これまでにない判断と決断が求められる。
中東紛争は、挑戦などという言葉で片付けられない事態を呼び
込んでくる、と考えている。
