中小企業の問題の多くは、資金と人材だ。
創業から当面の間の資金は、経営者が努力するほかない。
売上はそれほど簡単に上がらないし、黒字にするだけでも大変
だ。
創業経営者は、資金の手当に奔走していたのだが、資金を除け
ば、次に重要なのは人材だ。
ところが、ここで多くの課題が見受けられた。
人材の採用とは言いながら、とくに何をさせるかを明確にする
こともなく、仕事をさせることだけを考えて採用するのだが、
結果は採用する前からわかっていた。
仕事ができない、定着しない。
仕事ができないのは教えていくことができるのだが、定着しな
い人材はどうにもならな。
こうなるのも中小企業には、採用条件に関する明確な指針がな
いことが多かった。
応募する人材に関して、高い賃金を望んでいるのか、自分がや
りたい仕事があるのかを判断しなければならないのだが、中小
企業の採用は、だいたい数合わせばかりが目立った。
経営者が、まず変わらなければならない。
募集する人材になにを任せたいのかを明確にすることだ。
賃金も仕事同様に、自社の能力で支払える額をハッキリとさせ
ておく。
中小企業に入社するのにお金をいう人間を採用することは、そ
もそもむずかしい。
お金に関することであれば、大手企業へいってもらうしかない。
私が、ソニー子会社へ応募したときは、賃金はこれだけしか出
せない、とはっきりと言われた。
私は、管理部門の仕事がしたかったので、賃金は問題でなかっ
た。提示された額で入社するつもりでいた。
まず仕事を学べることを優先していた。
ソニー子会社に限らず、そもそも中小企業では、応募者が希望
する賃金を支払えることは少ないものだ。
中小企業に応募する人間には、必ずなにがしたいのかを確認し、
さらに支給できる賃金を明確にしておくことだ。
とかく中小企業の採用は、数合わせの堂々巡りが多かった。
また、女性を嫌う傾向が強かった。
女性は、男性のように暗黙の了解や空気を読むことが少ない。
だからこそ、女性を活用すれば、経営はたやすくなるのだが。
この点がわかっていない経営者も多い。
女性は、言うべきことを、きちんと話すからよいのだ。
私は、いつも妻にボコボコにされている。
そこから這い上がっていくから真の人間力がつく。
簡単なことだ。
もっとも、ソニー子会社時代、女性に限らず男性でも言うべき
ことをきちんと、しかも少々厚かましくいう人間ばかりだった。
本来、企業は女性に限らず、言うべきことを言える場でなくて
はならない。
中小企業が変われる要素のひとつは、女性を活用することだ。
私が経験した中小企業の経営者のなかでは、ある企業の創業経
営者だけが、女性の活用ができていた。
女性を活用していた創業経営者は、一言だけ私に話した。
女性のほうが営業成績がよいから、と。
要は、創業経営者が、女性を活躍させることができるかどうか
だ。
営業成績を残せる女性(もちろん男性もだが)に対して、創業
経営者は、話をよく聞いていた。
当たり前だ。
成績がよいのだから、このような人材の話を聞かなければ、事
業は成長発展しない。
創業経営者は、当たり前のことをしているだけだった。
女性が男性と対等に活躍できている会社には活力があった。
会社の成長が目に見えるようだった。
もちろん、課題は成長ステージごとに次から次にでてくる。
人間が仕事をする以上、あらゆる種類の問題や課題は、都度発
生する。
成績や会社ルールに関しては、常に信賞必罰で臨めるかどうか、
だ。この点で、中小企業の創業経営者はできない人が多かった。
簡単に言えば、人間に対してえこひいきするからだ。
社員に対して信賞必罰を明確にして対応できる創業経営者は、
私が知る限り一人だけだった。
女性であっても、成績がよければ、30代でも一千万円を超え
る報酬を出していた。
本当の意味で実力主義だ。
私にできるかどうかわからないが、私が経験した営業とは対極
にあった。
企業は、創業経営者とともに、どんどん伸びていった。
今では一万名弱の社員数だ。
能力を発揮する人の話を聞き、自分の経営判断を信じ、常に挑
戦していた。
また、信賞必罰だけでなく、理由(自ら責任を取る人間だが)
がある失敗を許容する力量があった。
失敗した社員は、さらに働いて成績を上げていた。
人間という生き物は、恩を感じれば報いていくのだろう。
見事なマネジメントだった。
若い創業経営者だったが、多くのことを学ばせてっもらった。
もっとも、学びを生かしていけるだけの能力が私に備わってい
なかった。
笑える話だ。