大手企業で仕事をしていると人はみな同じようにみえている。
やるべきたくさんの仕事が動いているからだろう。
いわば一つの景色の中に人が溶け込んでしまう。
問題がなければよい場所だ。
毎月、給与が振り込まれてくるし、福利厚生も充実している。
問題が発生すれば大変だ。
組織が大きく揺れて景色がさまがわりする。
なかには組織が消滅したりする。
それでも人間は、また新たな景色のなかに隠れていく。
大企業の人間が同じようみえるのは、組織のなかで多くの仕事
があるからだろう。
人の個性など、どうでもよいところだ。
それに比べると、中小企業は、人がみえている。
人がなにをやっているのかがわかるし、人はそれぞれ違うとい
うことが明白だ。
良いにつけ、悪いにつけ人間の個性がよくみえる。
個性で仕事をしている。
だいたい中小企業では、個性の悪い部分がみえている。
ここが残念なところだ。
能力が高い人は多いのだが、人材が活用されていないのが中小
企業だ。
中小企業のよいところだが、個性が大事にされている。
大事されていると言えば聞こえはよいが、人に手をかけられな
いのだ。
また、人の個性の使い方がへただ。
その点、ソニーの子会社では、人の個性を生かして仕事をやら
せていた。
100名から300名くらいの社員数をみてきたが、やはり1
00名時代は、人の個性が際立っていた。
もちろん、当時の社長を含めて役員の個性も豊かだった。
よそにはいないタイプの集まりだった。
個性がありすぎだが、社長はうまく使いこなしていた。
さすが東京通信工業時代から働いてきた人だった。
とくに立上げ時期は、こんな個性がある人間が必要なのだろう。
とにかく個性がある人間は仕事におけるパワーがあった。
中小企業は、社長を含めて個性を大事にしなければならないが、
個性があっても組織的な動きができなかった。
個性をうまく使えない創業経営者が多い。
ここでも毎回同じなのだが、創業経営者で事業を伸ばしている
人は、本人も個性的だが、社員も個性的だった。
その個性の塊を、企業の成長に合わせて、実践的に鍛えていた。
当時、私と仕事をしたある人は、現在役員になっている。
この人は個性的というよりはバランス型だった。
経歴はよく知らないが、私はよく話をした。
私がみても大手企業で仕事をやっていけるバランス感覚があっ
た。
あれだけ個性的な人間ばかりだったが、生き残るだけの力が備
わっていた。
中小企業から大企業になれば、やはり個性よりもバランス感覚
なのだろうか、とも思う。
創業経営者もヤンキーな兄ちゃんから見事な大社長になってい
る。
中小企業には、ステージごとの人材がいる。
社員数が少ない時代は、人間の個性で事業を成長させていくの
だが、それでも違法な手段で利益を上げてはならない。
このような経営は、いずれも破綻した。
創業経営者は、自分の個性も社員の個性も大事にしていた。
そのうえで事業のステージに合わせて、ふるいにかけていかな
くてはならない。
大きくなっても個性的な人の使い方ができる企業には、それな
りの仕組みがあるのだが、多くの企業はこれがない。
ニデックが問題を起こしている。
創業経営者は個性派だが、事業が成長していくなかで、どのよ
うに事業を適法に維持していくか、という仕組みを理解してい
なのだろう。
このタイプの創業経営者は、ニデックに限らず、実は多い。
ソニーとどこが違うのだろ、とは考えない。
お山の大将だからだ。
そして墓穴を掘る。
個性派でよいのだが、学びが必要だ。
利益ばかり追いかけすぎたようだ。
社員の個性を生かすにも仕組みが必要だ。
それを知らない中小企業の創業経営者ばかりだが、学ぶべき対
象はある。
ソニーの創業期など、中小企業にはうってつけの教材だ。
中小企業の創業経営者こそ、その学びが必要だ。
成功にはシンプルだが方程式がある。
だから成功する。

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