現在の世の中は、最小の労力で最大の成果を得る。要は、大半
が効率化のテクニックがいわれている社会だ。
コスパよく、タイパよく物事を進める。忙しい現代社会では切
実なテーマでもある。しかし、中小企業が、いきなり効率化に
走るのは課題があると思っている。
理由は、そもそも中小企業とは効率化や標準化がむずかしい存
在だ。
仕事のボリュームゾーンが少なく、効率化や標準化するほどの
仕事量がないことも多い。だから、属人化しやすいともいえる。
中小企業の仕事は、人についていることには意味がある。人の
努力のうえに仕事が成り立っているからだ。
これからの時代は、さらに人のうえに仕事をすることが求めら
れる。仕事の質より量をこなすことは重要だ。
ただし、経営者は、会社にいる人たちが協力できる環境を作る
ことが重要になる。所詮、人ひとりがやれる範囲は限られるし、
人の協力関係がない職場では創発がない。
経営者は、徹底的に社員のコーディネーターになる必要がある。
しかし、コスパやタイパを気にすることはない。そんなものに
流されても何も得るものはない。みな、同じことに走るからこ
そ、一見無駄にみえるようなことにでも大切にすることが求め
られる。
中小企業にとって、今の時代こそ、待ってましたの時代だ。社
員ととも愚直にお客さんにぶつかっていくことだ。毎日、顧客
にヒアリングと提案を繰り返す。地道に顧客が求めるもの探す。
その愚直な行動のなかに、顧客の真の欲求がみつかる。顧客が
求めるものを開発するには時間がかかる。新たなサービスの構
築でも時間がかかるものだ。コスパやタイパの対局に物事の本
質はある。企業も人も、コスパやタイパでは成長しない。説得
力のある開発力や営業力は、人と人とのやり取りという無駄に
思えるなかにしかない。
中小企業の泥臭さは、簡単に捨てるべきではない。社員をどの
ように活躍させるかを考えるのが経営者の仕事だ。実際、いく
らでもチャンスはある。泥臭く成功事例を作れだ。