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中小企業優遇制度

中小企業の淘汰がはじまっている

中小企業の倒産は、年間1万件ほどあるが、休業、廃業、解
散は7万件を超えるペースのようだ。また、その半数ほどは
⿊字企業だと言われている。
コロナによる経済支援のため中小企業への補助金や実質無利
子、無保証融資が増加していた。コロナ禍の緊急支援は一定
の経済効果があったが、長期化することで、本来、経営内容
がよくない企業の延命を図ってきたのも事実だ。
中小企業への支援策は、日本経済の新陳代謝を阻害している
と言われて久しい。

中小企業に対する補助金や実質無利子、無保証融資といった
支援策は、長期間続けば深刻な副作用もたらす。生産性も上
がらず単に事業を引っ張るだけの利用にとどまることが少な
くないからだ。
コロナ融資の期限が近づいてくるにつれ倒産件数が増加した。
実際、会計検査員の調査では『新型コロナウイルス対策とし
て実施された中小企業向けの資金繰り支援を巡り、政府系金
融機関が貸し付けた約20兆6000億円のうち、7.6%にあたる
1兆5000億円超が「返済困難」になっている』と報道された。

また、中小企業白書によれば『中小企業の労働生産性は大企
業の半分以下にとどまります。これが従業員の低賃金の主因
です。本来なら淘汰と新陳代謝を通じて、労働力が生産性の
高い企業に移動し、賃金水準も向上していくべきです。しか
し、政府の過度な保護策がこの流れを妨げています』とある。

そんななか日本のIT業界は、不景気になっていると言われて
いる。求人の減少、報酬水準の停滞など、エンジニアや採用
担当者の多くが感じているようだ。
このような背景があるからだろうか、新たに2026年度の税制
改正要望のなかで、経済産業省は、2026年から5年間の時限
措置として、設備投資にかかる減価償却費を初年度に一括で
計上できる制度の創設を財務省に提案しています。
仮に制度が実現すれば、企業の税負担が軽くなり、大規模な
IT投資を前倒しで実行するインセンティブとなる。

このような政策的な投資の推進は、一時的に景気を刺激する
が、終わればなんのための投資だったのか、と言われるもの
が多いのは中小企業だ。
税制優遇だけを期待した投資だからだ。
税金を納めたくない中小企業は、こんなエサにすぐに食いつ
く。よく検討しなければ、最初に書いた1万件のなかに入る
ことになる。
固定資産の一括償却は、税金の問題よりも必ず多額の資金が
キャッシュアウトすることが問題だ。本来、必要ではない投
資をすることでキャッシュが減っていき、さらに生産性が上
がらないことも多い。
また、利益が上がれば、不要なものを購入するケースは多い
が、今やらなければならいことは、人材に投資することだ。
事業の成長のために必要な投資は、計画性をもっておこなう
べきだが、単に税制優遇だけのための投資であれば効果がな
いことは目にみえている。

中小企業は、とくに長期的な視点で投資をおこなうことが重
要だ。グローバル経済は、急激に変わろうとしている。
トランプ関税は、わが国を負のトライアングルに導く、との
識者のコメントもあった。
わが国の政治状況も大きく変わろうとしている。
国民は選挙で怒りをぶつける。
次に選挙があれば、政治は、さらに流動化していく状況だ。
経済対策や税制は、国民生活に直結するものが多くなるだろ
う。中小企業には覚悟がいる時代が訪れる。
他方、厳しい経営環境は、本気で経営者や社員を変えること
ができる。今こそ足元を見つめ直すときだ。

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