これから中小企業には覚悟がいる時代がやってくるだろう。
その理由のひとつは、自民党が多数を取れない政治状況に
追い込まれていくからだ。確実に政策が変わるだろう。
すでにその端緒はある。企業を優先してきた政策から人に
投資する政策に移行していく、と思われる。
いわば中小企業の淘汰を狙う政策に変わっていくことが予
想される。政治家は、票に敏感だ。
また、最低賃金に文句を言っているレベルでは経営はおぼ
つかなくなる。人口減少が目にみえるようになってきたか
らだ。賃金の上昇も採用が厳しい業種から進んでいる。賃
上げ分の値上げがされる。
さらに、生活賃金の概念が生まれようとしている。生活賃
金の概念は、最低賃金より高い「生活賃金」の支払いを企
業が約束するというものだ。日本でも生活賃金を約束する
企業が増え始めた。食品をはじめ、水道光熱費などの物価
高騰が続くなか、パートや契約社員など非正規雇用者を中
心に家計のやりくりが苦しくなっていることがベースにあ
る。企業側は従業員の待遇改善を訴求して採用力の強化に
つなげていくほか、人権問題を重視するESG投資家から
の評価を高める狙いがあるようだ。
中小企業の経営を取り巻く環境は、急速に変化している。
今は、より計画性が求められる。あらゆるコストが上昇し
していく。それに対応できるようにしておかなければなら
い。補助金を当てにした経営ほど危ないものはない。
自らの経営は、社員とともに考え、今の時代をどう生き抜
くか、真剣に検討しなければならない。
当然、廃業も視野に入る。まさに構造転換がおこなわれる
だろう。競争は、これまでの比ではない。まさに生きるか、
死ぬか死闘だ。昭和の私がみたことがない世界だろう。
だからこそ、中小企業でも生き抜いた企業が新たな分野で
活躍していくようになるだろう。