最低賃金の改定は、中小企業経営を圧迫するだろうが、そも
そも賃金が低いのがわが国の特徴であり、問題でもある。中
小企業は、これまでのように国の支援を期待するだけでなく、
収益の柱を自ら増やしていくしかない。厳しい環境は、知恵
を生み出す起点となる。
中小企業の現状は、原価と人件費の上昇分を自社で吸収せざ
るを得ないというものだろうが、今後も原材料や賃金は上が
っていく。ただ待っていても好転することはない。将来に向
けて挑戦すべき分野を決めて行動を起こした企業だけが生き
残る。もちろん、なにもしなくとも、なにか行動しても生き
残れない企業はでてくる。
グローバル経済は、トランプ関税とAIの登場で予想を超え
た展開になるだろう。他方、人口が減っていると言えども、
まだ1億人以上がいる日本だ。国内だけでやるべきテーマ
は多い。エネルギー関連は分野が広く、資源がないわが国
では喫緊の課題だ。その割に投資が進んでいない。国は電
力事業者との関係が深く、大きな期待はもてない。
中小企業がやるべきことはたくさんありそうだ。主食の米
と電気料などの光熱費の高騰は生活者から生きる意欲を失
わせていく。毎年発生する水害など社会インフラを支える
システムなども課題だらけだ。中小企業の努力でイノベー
ションを起こす必要がある。技術革新とは、厳しい環境に
なればなるほ実効性は高まる。
価格転嫁には限界がある。実質賃金は、厚生労働省は26日、
毎月勤労統計の7月分の確報を発表し、7月の実質賃金につ
いて前年同月より0.2%減に修正した。速報では0.5%増で
7カ月ぶりのプラスだったが、パートを多くかかえる事業
所などの回答が加わり、結果的に7カ月連続のマイナスと
なった。
厳しい生活が続く、企業も同様だ。価格転嫁の限界を知る
ことになるだろう。仕事とは、限界だと思ったその先に本
当の姿がみえてくる。チャンスだ。