東京証券取引所は、9月26日『「グロース市場」での上場維
持の基準を引き上げる方針を明らかにしました。企業側に
求められる時価総額が今の基準の倍以上となるなど、より
厳格な運用となります。
東証は現在、▼グローバル基準の大企業などで構成される
「プライム市場」、▼安定成長が期待される企業などで構成
される「スタンダード市場」、▼スタートアップなど今後の
成長が見込まれる「グロース市場」の3つに区分されていま
す。
現在「グロース市場」には600あまりの企業が上場していま
すが、小規模な企業も多く、機関投資家などによる投資機会
が限られているため、上場後の規模拡大などが課題となって
ます。
こうしたなか、東証は「グロース市場」の上場維持基準につ
いて、現行の「上場10年経過後に企業の時価総額を40億円以
上とする」ものから、「上場5年経過後に時価総額を100億円
以上とする」ものに引きあげる方針を明らかにしました。
新基準は早ければ2030年3月末から適用される見込みです。
基準に満たない企業は今後の経営戦略などを示す必要がある
ほか、改善・猶予期間を経て基準に満たない場合は上場廃止
となるなどより厳格な運用となります。
日本取引所グループ 山道裕己CEO
「機関投資家が入るための最低限の時価総額、やっぱり100
億ぐらいはないとなかなか入りにくいっていうお話は機関投
資家の皆さんからも聞こえていましたので、(企業には)ダ
イナミックに成長戦略を進めていただくということを期待し
ている」
東証はこのほか、「グロース企業」と機関投資家の対話の機
会を増やす取り組みなども推進していく方針です』とメディ
アが報じていた。
早速、グロース市場の時価総額下位の企業をのぞいてみた。
おどろくような状況だ。
サービス業が多いようだが、これでよく上場したな、と思っ
た。成長性を感じない企業ばかりだ。時価総額40億円など
夢のような話であり、上場数を増やそうとした見事な結果だ。
中小企業そのものだ。
もっとも、時価総額が高ければ、成長性があるという証明だ
ろうが、上位企業では利益もしっかり確保している。
下位企業だけに限ってみれば、私が経験した20年前とあまり
変わり映えしない。
わが国の企業が成長していないことをあからさまにしている
ようだ。
大手企業の時価総額もグローバル企業のなかでみれば、50位
以内に入っているのはトヨタ自動車だけだ。
わが国の企業は、どこも小粒になっているのだ。
成長性が低いということだろう。
おもしろさやダイナミック性が欠如している。
私のコメントよりデータをみたほうがよい。
資料 by STARTUPS JOURNAL
36年間の時代の変遷は歴然だ。
ソニーは、どちらにも入っていない。
この間、ソニーは急成長した。
私が子会社に在籍していた時代の売上高は約2兆円規模だっ
た。わずか5年あまりで4兆円になった。
今ではソニーの売上高は約12兆円だが、アップルは約57兆
円だ。私の時代のアップルの売上高は、2兆円弱だった、と
記憶する。
アップルの現在の時価総額は約540兆円、ソニーは約27兆
円。ソニーの20倍だ。
ソニーでも成長した企業だと思われるが、グローバル世界
でみれば、成長力は弱い。
トヨタの時価総額が約46兆円程度だ。
ベンチャー企業に限らず30年の間に世界の企業は成長してい
たのだ。
このランキングをみると昭和がいかにすごい時代だったかが
わかるとともに、わが国企業の当時の実力は、なんと張りぼ
てだったことが明白になった。
24時間働けますか、という時代の陶酔感のなかで作られたも
のだろう。ジャパンバッシングによって張りぼては、一気に
破れてしまった。
グローバルスタンダードへ挑戦したが、わが国の多くの企業
は、見事に敗北したということだ。
今、わが国の企業は彷徨のなかにある。
ベンチャーの台頭は、わが国の将来を決めていく。
時価総額100億円で驚くようなベンチャー企業では、この先、
どうにもならない。
時価総額だけで企業を判断することはできないが、消費は低
迷し、賃金が上がらない国に成長性など感じるわけがない。
スキマバイトのタイミーの時価総額が約1,500億円だ。
売上高は約260億円。
スキマバイトが流行る社会は豊かな社会なれるのだろうか、
と思ってしまう。
そんな私も自分で仕事を見つけながらスキマバイトをしてい
る。スキマバイトは、時間をもてあます私のような高齢者に
はよいのだが、若い人たちがスキマバイトで生活を支えてい
るとなると、なんだか複雑な思いにかられる。
それでもグロース市場の時価総額ランキング上位企業には、
おもしろそうな企業がある。
グローバル展開できるかどうかが鍵だ。
秋の夕日のような国内経済では、先は知れている。
世界で戦え。
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