中小企業の経営者には勇気がいる。社員に自由と責任を与え
ることが必要になるからだ。事業の成長のためには、厳格な
ルールはいらない。自由な発想にはゆるやかな秩序があれば
よい。管理より一人一人のの人間の可能性を優先することに
なる。
休暇や経費の取得に関しても自由でよい。出張費や接待費な
どに細かい基準は設けず、社員自身で、その有益性を判断さ
せることだ。必要であれば自由に経費を使う仕組みがあれば
よい。もちろん不正には厳しく対処し、面倒な承認フローを
排除することでスピード感のある意思決定と自主性を育てる
ことが大事だ。
私が知る中小企業のほとんどの経営者は、これができなかっ
た。キャッシュフローが薄く、余裕がなかった。
他方、キャッシュフローが潤沢な企業の創業経営者は、この
理屈がわかっていた。完璧ではなかったが、自分を自重させ
ながら、社員に自由と責任を求めていくマネジメント選択し
ていた。
勇気がいったことだろう。誰でもが簡単にできないから競争
力がつく。さらに利益を確保していった。同じ時代に生きて
いた同業他社のなかには淘汰された企業がある。生き残るた
めの原理は、時代を超えていく。事業を拡大させる創業経営
者は、目のつけどころが違う、と私は思った。そして勇気が
あった。