中小企業で忖度ばかりおこなわれていれば成長を妨げること
になる。もっとも経営者の判断力が正しく機能しているうち
はそれでもよいだろう。経営者の独断(ワンマン経営)で事
業が成長するからだ。このような企業は結構あるのだろう。
しかし、売上が10億円を超えるようになると、経営全般に
かかわる変数が大きく変わっていく。
100億円ともなれば、社員を含めてあらゆる情報を集める
必要がある。それでも話を聞かない創業経営者がいたが、事
業が再度成長軌道に乗ることはなかった。
情報が経営者に入らないことは致命傷になる。
とくに悪い情報が入らなくなる。
これが原因で企業は他社との競争に負ける。
人材が硬直化し人が集まらなくなった。
日本人は無意識のうちに周りの人の雰囲気や行動を見て判断
しようとする。また、相手に察してくれることを期待すると
いう意識が強い。
空気を読む問題点は、強いものや数が多いものに流されて、
自分の意見を主張しないことにある。
昭和の高度成長期は多様な考え方が不要だった。
ひたすらまわりに流されていたほうが無難な時代だった。
ところが高度経済成長の枠組みがなくなってしまえば、自ら
考えて行動することが求められたのだが、ここでも同じよう
に空気を読むことは続いたのだろう。
大手企業はコスト削減経営で成功した。
経済活動の前提は変わったのだが、日本人がやってきたこと
は同じで、空気を読むことで経営職に就いた人間は多いだろ
う。
不祥事の多さをみればわかる。
大手企業はどうでもよいが、今の時代、中小企業には、間違
いなく多様性が求められる。
勿論、事業を成長させていくためだ。
ところがわが国の中小企業の創業経営者も多様性は苦手なよ
うだ。とくに中小企業の場合、社員は、創業経営者の言葉や
行動に強い影響を受ける。
経営者のなかには、社員を見下していることも多く、経営者
の話す言葉やその態度はやたらでかい。
どうも自分の地位を脅かされるとでも思っているようだった。
多様性などどこにもなく、あるのは恐怖のようだった。
よいしょ人材が、経営者のまわりを固めていた。
多様性が必要な理由は、簡単だ。
未来の成長を確保するためだ。
組織といえば、ルールなのだが、ルールばかりにこだわって
いては厳しい社会環境を泳いでいけない。
自由さが当たり前の会社を作ることだ。
中小企業ではルールが甘くてもよい。
優秀でひとくせある人間は、ルーズな人間も多いものだ。
会社組織にどのような影響を及ぼすのかは、ひとえに多様な
人間の自由な発言のぶつかり合いのなかにある。
声が大きいだけでは駄目だ。
これは昭和の人間だけで十分だ。
これからは感情や慣習に囚われず、少々ルーズなルールのな
かでも、いろいろな意見がでる組織にすることだ。
そんなことでは、人を働かせることはできないという経営者
は、それまでのことだ。
必ずこのように自由な議論ができる組織を束ねていける経営
者が、企業を成長発展させていくだろう。
昭和の時代の中小企業でも発展していったところは同じだっ
た、と私は想像している。
企業が大きくなれば、自然とルールは確立される。
優秀で真面目な人間が多くなれば、どうしたものか、ルール
をほしがるようになる。
大企業とは、ルールの塊のようだ。
稼いではいるが、そこにいる人間には喜びが少ないように、
極一部の大企業だけだが、私にはそうみえた。
ソニー子会社時代の上司は、遅刻はするわ、職場で居眠りは
するわ、とこれまでみたことがない態度の人間だった。
しかも偉そうに話すのだが、憎めない人だった。
仕事ができる。
常になにか考えていた。
経営職の人たちから怒られても、ぶつぶつ言いながら仕事を
進めていく。
この人がいなければ、会社は前に進むことができなかっただ
ろう。私もこの人のおかげで総務や人事の仕事を学ばせても
らった。この人との出会いがなければ、私の人生はなかった。
このような人間を活用していく社長の姿を、私は、毎日じっ
とみつめていた。
そう、人とはどのような人間でも活かしていくことで、事業
は成長していくのだ、と。
私を含めて優秀な人間ばかりがいたわけではないが、組織に
は自由があり、誰でもなんでも気さくに話ができた。
社長との壁の低さは、私が経験した企業なかで一番低かった。
その社長は話していた。
ソニーの前身時代、東京通信工業時代から同じことをやって
いるだけだ、と。
小さな企業が発展していくには、人からしかはじまらないな
いと体得した。
中小企業が成長発展していくためには、今いる人たちからし
かはじまらない。ないものねだりができないのが、中小企業
だ。
現実の足元をみることと、経営者からしか、事業の成長はな
いと知った。
どんなに厳しい環境にあっても、事業を成長させるのは、人
しかいない。
そのことを理解できるのが中小企業だ。
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