創業経営者は、頭のなかにいろいろなものをもっているよう
だった。だが、なかなか言葉に出していう人ばかりではない。
また、言葉はでるのだが、その言葉に自分だけが酔っている
人もいた。自分の考えを言語化することは、自分がこの事業
をやりたいんだ、と確認したり、自分は、会社をこのように
したい、といった気づきをもらう瞬間でもある。
いわば心の中のモヤモヤに輪郭を与えるために、ワイガヤが
必要になる。雑然とした会話のなかにより自分が目指したい
ものが明確になることがある。若いベンチャー経営者でもワ
イガヤができない人は多い。経営者としての立場を意識する
からだろう。気さくさがなかった。どこか構えていた。この
ようなタイプの人には、思わぬ収穫がない。
ワイガヤは、新たな事業を生みだすきっかけになる場合もあ
る。経営者は、言語化を楽しむことだ。言葉を社員の統制の
ためだけ使う人は多い。言葉は、そもそも自由が似合う。自
由を疎外しているは、経営者自身だと知ることだ。
新しいアイデアは、ワイガヤのなかで浮かんでくることも多
い。外から見れば、ただの雑談のように思えるが、事業活性
化のためのヒントがあったりする。
平場の言葉を大切にする経営者は、社員が生き生きとしてい
た。同時に、経営者自身の考えを整理してまとめて発信する
ということは、事業の発展につながっていく大事な行為だ。
ただし、常に現場のなかにワイガヤを許容できる力量が必要
だ。なぜか、批判の精神が宿るからだ。この精神なくして事
業の発展もない。多くの企業が、批判精神を忘れた社員をつ
くってきた。だから、事業は成長発展しない。
創業経営者の頭は事業の研究室だ。それを最大限に稼働する
ためにワイガヤで刺激を与えていく。そんな経営者がいる企
業が発展しないわけはない。