日本の産業は昭和の時代とあまり変わらない。結論からすれ
ば、製造業が幅を利かせている社会だ。だが、稼ぎは、米国
をはじめ諸外国で稼いでいる。だからこそ、トランプ関税は
わが国の大手企業を直撃する。この国の意識は昭和のままな
のだが、それはそれでよい。問題は、国内に投資をしないこ
とだ。
従業員の低賃金、あるいは下請けを叩いて低価格を維持して
きたからこそ、輸出を増大させて利益を上げることも可能だ
った。このビジネスモデルが壊れようとしている。大きな視
点でみれば、たこ足経営なのだから、いずれ国内における生
産は厳しくなる。下請けの倒産や縮小、あるいは人口減少な
どの要因から大手企業の成長も止まってくるだろう。現に、
そのような状況の一部は現れている。これからは、自動車産
業の一部でもみられるようになる。日産は、そのひとつの兆
候だ。
米国など諸外国のビジネスでも中国などからEV車が輸出され
ていくようになれば、いずれ価格競争に巻き込まれる。EVに
なれば勝負はあったに等しい。わが国の自動車産業で生き残
るのはトヨタだけだろう。時間の問題だ。
国内産業に投資するほかない。国がすることは、産業そのも
にタッチしないことだ。ただ、工場誘致などの税制優遇をお
こない産業をただ黙って育成することだ。同時に国内の消費
が増える政策が必要だ。若い世代に対する所得税減税などが
必要になるだろう。雇用を増やす企業に対する税制措置も必
要だ。要は国内に存在する中小企業から中堅企業クラスを増
やしていかなくてはならない。
国がやってはいけないことは、事業そのものを支援すること
だ。あくまで経営環境を整備するだけでよい。
挑戦する人間は自然と集まる。失敗もあるだろう。それがど
うしただ。失敗があるからこそ、次がみえてくる。民間は、
挑戦しかない。