私の営業時代、まんがは必須のアイテムだった。毎週発刊さ
るマンガのために、その日は、ひとりである喫茶店へ直行し
ていた。もちろん漫画ばかり読んでいたわけではない。とこ
ろが、管理部門の仕事をするようになって漫画を読まなくな
った。私の発想は貧弱になっていったように思う。
この点では、営業時代に漫画をたらふく読んでから入社した
ソニー子会社時代は夢を追うことができた。我ながら発想が
豊かな時代だった。今では、漫画を読まなくなった分、発想
がなくなり、干からびた人間になった、と思う。たかが、漫
画と侮るなかれだ。
幼いころから漫画だけはよく読んでいた。息苦しい社会から
逃避できた。これがよかった。自分の生き方ができたし、夢
をみれるようになったからだ。私の人生を支えてくれたアイ
テムだ。
私は、経営者は営業職を経験した人間をあてるのがよいと思
っている。とくに中小企業では、そう思っている。さぼった
奴ほどよい。人生をよく眺めているからだ。もちろん営業成
績は、さぼっても上げられる人間だ。私は、途中で管理部門
へ変わった人間だからダメだ。営業から脱走したので鍛えら
れていない。せいぜいできることは、経営者をサポートする
くらいだ。
漫画にはストーリーがある。経営と同じだ。今のように厳し
い時代ほどストーリーが必要になる。大手企業出身者を採用
するとき、あなたは「漫画」を読んでいますか、と聞いてみ
ることだ。おもしろい答えが返ってくるだろう。苦しいとき
ほど経営にストーリーがいる。