人のキャリアからみれば、壮年期にも意味があるだろう。こ
の時期の課題は、世代間の継承の課題が存在していることだ。
社会一般では子どもを産み育て、社会に対してその人なりの
貢献したり、将来を担う若者たちの手助けをすることだった
りである。会社のなかをみれば、組織おいて中高年にあり、
部下育成や身につけた技スキルを若い人たちに教えたりする
ことが重要になる。
イチローさんをみていればよくわかる。野球が好きなことも
あるのだろうが、やはり自分が獲得してきたスキルを若い人
たちに伝えていきたいという思いがあるのではないだろうか。
人間として自然なことだ。
第一線ばかりを求めて脇目も振らずに働いていると、周囲か
ら浮いてしまい、キモい奴などと蔭口たたかれる。会社にお
おける活動を通して、世代を超えた交流と若い人たちへの仕
事の継承は、キャリアの一つの目的でもある。ある記事には、
子どもを育てた経験がなければ、世代継承性は自然には身に
つかない、とあったが、私はそのような考え方を否定してい
る。
イチローさんをみれば、よくわかるし、私は子供がいるが、
子育てをした経験がないようなものだ。仕事や飲み歩いてば
かりいたからだ。若い人たちに、なにかを伝えたいと思うの
は、人間の本能だろう。わが家をみていれば、簡単ではない
ことはすぐにわかる。他人との交流が大切な理由でもある。
経営者のなかには、面倒見のよい人がいた。いろいろなこと
を教わった。父親以上だっただろう。自分から進んで学んだ。
しかも、いつも嫌がらずなんでも教えてくれた。私がはじめ
てこんな人と長く仕事がしたい、と思った人だった。創業経
営者には、このような姿勢が必要だ。長期雇用は、このよう
な人がいるところから生まれるのだろう、と私は思った。
制度の長期雇用が言われるが、私は人を介した長期雇用が人
間のあるべき姿だ、と考えている。
創業経営者がいる中小企業にチャンスがある。