キャリアは、個人レベルのミクロレベルの現象だ。長い職業
人生のなかで、その人なりに仕事と人生について意味づけし
たものがキャリアだと考えられる。この意味では、キャリア
は個人のものだろう。また、この点だけに限ればはミクロの
現象ということになる。
他方、企業のなかにおけるキャリアの問題は、社員個人の現
象だけでなく、人事のあり方、経営職や管理職の育成、雇用
のあり方まで含めたマクロな課題の連続となる。グローバル
社会でも終身雇用や長期雇用が維持できなくなってきている
と聞く。キャリアのあり方は、とくに日本の国でこれまでと
同じにはならないだろう。大企業ほどビジネスの急激な変化
に遭遇することも多い。働く人間が次々と仕事と職場を替え
ていく時代がきている。
ひとつの会社で働きながら、副業をやり、収入を分散させて
リスクに備える働き方も現れてきた。組織で働くことに大き
な意味がなくなってきている。個人はそんな組織を活用しな
がら組織で働くこと自体も副業化させている。
中小企業の経営者は、このようなところにも目を向けておく
ことが必要だ。時代の動きに敏感になることが必要だが、中
小企業ほど人を大切にすることを忘れてはならない。人間に
はキャリアアンカーが必要だからだ。中小企業の経営者ほど、
人の成長を願って仕事をしてもらうことだ。
理由も簡単だ。そのような経営者が極めて少ないからだ。