中小企業の経営者をみていると、優秀な人ばかりだった。や
はり事業を起こし、事業を成長させていくためには特殊な能
力があると、感じた。だが、このような優秀な創業経営者な
のだが、事業を発展拡大できる人もいれば、倒産させる人が
いた。
私は、どこにその違いがあるかを知りたいと思ってきた。私
が経験したなかで書けば、優秀な人は知能が高いにもかかわ
らず、学習が苦手だということだった。おそらくだが、潜在
的な能力よりはるかに低いところで能力が頭打ちになってい
たように思った。
自分の能力の一部を駆使することで創業は可能なのだが、問
題はその先だ。経営に必要な膨大な情報のなかから事業を拡
大させるための方法は、自分でみつけなくてはならない。そ
こに優秀な創業経営者でも学習(学び)が必要になってくる。
ドン・キホーテの安田さんは、ビジョナリーカンパニーから
学んだと、本に書いてあった。
私が知る創業経営者は、社員から学んでいたし、自ら社員に
わからないように学習を続けていたと思われる。学びによっ
て、人間は話す言葉と行動が変わるからだ。そのベースには、
人間としての謙虚さがあった。このような努力をできるから
事業は拡大していく。私にはできない努力の姿をみてきた。
それが成功する創業経営者の真実だろう。