大手企業に応募するような人間は、精緻化見込みモデルで説明
できるだろう。企業が新卒採用をおこなうとき、企業のさまざ
まな情報を精査する能力や知識に関して、学生は十分にもって
いないことが多い。当たり前なのだが、就職活動をはじめたこ
ろは、企業の内部情報に接する機会は少ない。企業で働くイメ
ージなどもてないことが普通だ。
そこで企業側は多くの社内情報を出しながら、学生への入社動
機を高めさせている。簡単に言えば、人間は、興味がある情報
は真剣に精査していく。そして精査することができれば、学生
はその会社へ入社することを決めるだろう。
このように情報を精査できる学生は優秀だ。だから企業側も必
死にアタックする。
だが現実は、このような人間ばかりではない、私を含めてこの
ような優秀な人間は少なく、大手企業へ入社することなど、そ
もそも無理な人間が多いものだ。人間とは、誠に不思議なもの
で仕事をすることで情報を精査する力がついてくるようになる。
この点で、どのような仕事でも仕事をする価値がある。
中小企業では、時間も金もないのだから、若い人たちに仕事の
場を提供するくらいの姿勢で採用活動をすることだ。中小企業
で仕事を覚えて、違う会社へ転職してもらってもOKというくら
いの度量が欲しい。中小企業ほど人材育成に向く場はない。AI
にかき回される心配もない。人材育成ができる中小企業になる
ことだ。人を育てて大手企業へ供給してやるくらいの覇気がほ
しい。案外、そのような態度が企業を成長させていく。
社員は社会からの預かりものだ、とある企業で聞いた。このよ
うな態度の企業が成長しないわけがない。
経営にむずかしい理屈はいらない。