人事などの仕事をおこなっていると「コンピタンス」という
言葉を聞く。単に経理の仕事能力があるとか、営業の仕事能
力がある場合、その仕事がどんなにうまくできても、それは
スキルや能力にすぎない。
コンピタンスとは、仕事などをおこなう環境との相互作用の
なかで定義され、自分の生きている世界を統制しマスターし
ているという感覚があることだと、言われている。
中小企業の創業経営者には、この感覚はよくわかると思う。
コンピタンスは単になにかが「できる」というのではなく、
「うまく生きられる」ことにまでかかわってくるともされて
いる。
別な表現では、仕事や勉強などが、うまくできるので面白く
なってくるという意味合いがでてくる。コンピテンシーは、
人事などでは、人間の行動を測定して、外的な報酬に結びつ
けることが多いのだが、研究における論考で言えば、仕事や
勉強自体が動機づけの要因になっているというところに特徴
がある。内発的動機づけに近い。
有能感があることとは、やっているプロセスそのものが面白
くて楽しく、そして、その途中がつらくとも達成が嬉しいと
思えることや自分で決めたことをやっている (自己決定)こ
と自体に動機づけられている状態を指す、とされている。
中小企業の創業経営者は、このことが理解できているはずだ。
課題は、社員にも同じ感覚がある、と知ることだ。大手企業
というところは、これを知ってか知らずか、人間のこのよう
な行動態様が活用(無意識だろうが)されている。
残念だが、中小企業のマネジメントには、これがない、ある
いは少ないと言える。だが、創業経営者は、大手企業の経営
者よりもこの事実を体得している。
人間の本質を知り、世の中に役立てることが経営なのだ。