日本製鉄のUSスティール買収が話題になっている。今後、
2兆円規模の投資を米国内でおこなうようだ。日本企業は
独力で事業を展開できる力を失ってきているようだ。こ
れまで国内ではたくさんの工場や事業所の閉鎖がおこな
われてきた。
このような大手企業の姿勢は、国内を捨てて海外の企業
を買収することで売上と利益を稼ぎ出そうとする行動で
もある。日本企業ではあるが、いわば日本を捨てて海外
で稼ごうという算段だ。うまくいくのだろうか、と私は
考えている。
鉄は国家なり、という時代があった。昭和を思い出す懐
かしい言葉だ。今では中国の台頭で斜陽産業の代名詞だ。
国内に投資できない大手企業が増えている。人口減少か
ら経済が縮小しているからだ。日本を収益基盤として稼
ぐ能力がない。やはり旧態依然の発想があるからだろう。
日本を主体としながら稼げる企業には、独自性のある技
術やグローバル社会に受け入れてもらえる商品やサービ
スが必要になる。
同質性が高い日本人は、この点で、とくに弱い。多様性
や英語文化になじみがないことが、その本質だろう。し
かし、少し考えてみれば、同質的な文化は、文化そのも
のに独自性がある。独自性を大切にしながら、うまく海
外へ展開する方法や手段を考えることが重要だ。
このことは企業側からすれば苦労が伴うが、今後事業を
成功させるために必ずもっておかなければならない視点
だ。この点でも中小企業にチャンスがある。村社会から
でて独立自尊で行動できるタフさが要求される。なにか
に依存するほど中小企業にとって自社を弱くするものは
ない。