経理 記帳代行ならエヌエスアカウトスタッフ

経営

コスト削減経営が人的資本を棄損させた

日本企業のこれまでの30年間は、コスト削減経営が主流でした。
バブル崩壊後の経営は、大手企業を中心に横並びの経営が続き
ました。経営活動は、欧米企業を追随する形でガバナンスが強
化されていき、経営において所有と経営の分離がなされてきま
した。
もっとも、欧米でおこなわれているほど、実態はガバナンスが
強化されていませんでしたが、それでも1980年代でと比較すれ
れば、強化されたと言える程度でしょうか。

ガバナンスの強化とは、簡単に言えば、企業における経営者と
所有者である株主との役割を明確に分けることでした。このた
め社外取締役の導入、指名委員会や報酬委員会の設置などを通
じて、取締役会が適切に機能するようにし、コーポレートガバ
ナンスが強化されてきました。

私は、それでも実態が伴っておらず多くの不祥事が近年発覚し
てきた、と思っています。その背景にはコスト削減経営が跋扈
したことで、人的資本である人を削減し、さらに業務実態を改
悪(法律違反を含む)しながら、経営活動を棄損していたこと
が判明したように思えます。
日本企業におけるガバナンスの強化という言葉の裏側には、コ
スト削減があり、しかも企業におけるガバナンスの強化は、た
だのお題目であったばかりか、人を中心とした社会制度まで破
壊してきたことが明白になってきました。

日本の大手企業の経営者というのは、もともとすり替えがうま
く、しかも横並びの経営をおこなうことが特徴です。本来であ
れば、人的資本を活用すべきであったところを、コスト削減に
走ったことで、新規投資がおろそかになり、さらに社員を削減
し、利益至上主義、いわば株主の利益を必要以上に求めたため、
株主目線では合理的な経営判断が行われ、業績(配当を増やす
ため)が高まる経営がおこなわれてきました。その結果、株価
は上昇し、過度な配当が還元されるという経営がおこなわれて
いたのではないでしょうか。

日本の大手企業の経営者は、積極的に新規投資をおこなうとい
う経営者が少なく、今に至って業績悪化から、さらにリストラ
をおこなうという失態を演じています。
この失態のための経営判断は、工場閉鎖や人員削減が主たる内
容になっていますから、企業の業績は縮小していくことが予想
されます。すでに縮小している大手企業をみることもできます。

目先の利益に溺れた経営は、人的資本を棄損したことで、企業
にとって重要な投資活動まで制約を受ける結果になっているの
が、今の大手企業の実態ではないか、と私は考えています。
このような体たらくな経営をおこなう大手企業が多くなり、そ
こから退出する社員をどのように活躍してもらうかを考えてい
くのが、中小企業の経営者に求められています。もっとも、中
小企業の経営者も過去30年間、人的資本を棄損してきた、と私
は確信しています。

この国の経営者の多くは、人的資本を本気で活用していくとい
う原理原則がないのです。日本企業の衰退の本質を、今、私た
ちはまじかに見ているのかもわかりません。

news allread more

share this one