経営者や管理職が特に注意が必要すべき点は、突如、重大な
トラブルに遭遇した場合です。人間は、思わず気が動転して、
わけがわからない言い訳を始めたり、部下を責めたり、わめ
き立てる人がいたりしました。
私も部下を激しく叱責したことがあります。管理職としては
問題があったと思っています。
経営者でも危機に直面したとき、その人の人間性がでます。
管理職との違いは、その言動が経営をゆるがすこともあるこ
とです。最悪の事態を招くこともあります。
トラブルの発生は、その多くは対応するまでに時間がない場
合が多く、スピードが命となります。できる経営者ほど冷静
に判断し、周知を集め、即座に対応を開始しました。反対に、
初動で遅れをとり、トラブルに取り乱した経営者は判断を誤
り、致命的な結末になりました。
トラブル時に取り乱す経営者は、私は人間として尊敬できま
せんが、厳しい言い方ですが、経営者というものは言い訳を
したり、部下のせいにしたりする権利がありません。
理由も簡単です。組織で発生した問題の責任は、すべて経営
者がとるものだからです。経営者の基本です。
社員から尊敬を失った経営者は、求心力がなくなるからでし
ょうか、権力に頼ったり、人事権を振り回すことで、組織は
確実に弱体化していきました。
トラブルや危機のとき、人間は、その本質が現れます。
私もトラブル時、部下を叱責するなど人間性を馬脚しました
が、これから経営者や管理職を目指す人たちは、この点、と
くに意識しておくべきことかもわかりません。
経営とはトラブルの連続です。企業を成長させていく創業経
営者をみていた私には、経営者とは、トラブル退治人であり、
頼もしい存在でした。