私が知る限りの範囲ですが、多くの企業では自然体の会話が
少ない、と感じました。会話が硬直していると、組織に躍動
感がありません。なにかよそよそしい雰囲気が社内を漂って
いました。また、秘密主義というか、オープンな会話が少な
いのも特徴です。
反対に、ソニー子会社では、オープンな会話であふれていま
した。良いことも悪いこともオープンな会話からはじまりま
す。だからでしょうか。物事の本質へ近づけます。
意思決定がはやくできるのは、経営者のひと言(トップダウ
ン)のほうがはやいのですが、残念ながら物事の本質へ近づ
けていないことが多くありました。
ソニー子会社では、なぜ、多くの人間と自然体で会話してい
たのでしょうか。この理由も簡単です。いかにはやく物事の
本質へ近づけるかを理解していたからです。
物事の本質は、自然体の会話のなかにしかありません。簡単
なことなのですが、人間が組織を作ると、これをうまくやっ
ていくことができなくなるようです。
本来、経営者の頭の中に正解はないのですが、多くの経営者
は自分が正解をもっていると錯覚しています。このことによ
って自然体の会話を必要としなくなる、と私は考えていまし
た。
残念ですが、こうした経営者が率いる企業は、私がみてきた
なかだけですが、無くなってしまいました。
今でも事業をおこなっている会社の経営者は、少なくとも自
然体の会話ができる素地はありましたが、その内容と質にお
いてソニー子会社時代とは大きな差があり、自然体な会話が
できる組織能力は、それほど容易く構築できるものではない
ようです。私の人生おいて理想的な会話ができましたが、残
念ですが、その他の企業で、ソニー子会社時代以上の会話が
できたところはありませんでした。
自然体の会話は容易いことなのですが、原理原則がないとこ
ろでは、むずかしいことなのかもわかりません。