企業組織のなかには、現場のどうしょうもないことや組織内に
自然と生じるセクショナリズム、あるいは派閥などの政治的な
現実があります。コンサルが提案する戦略を実行しようとすれ
ば、社内に軋礫を生み出すことで、改革そのものができなくな
ることがあります。
コンサルの本質を突いた戦略は、その実行を無理にやろうとす
ると、そこで生じた軋礫によって組織が機能しなくなったり、
あるいは組織が空中分解することもあります。
経営者は、必ず経営の当事者になりますが、コンサルタントは
経営に責任を負うことはありません。裏を解せば、だからこそ
コンサルは、企業のなかに存在する問題点の本質をつく戦略の
提案をしてくることができます。しかし、その提案には、現場
などの現実が反映されていないこともあるため、経営者がなに
も考えることなく実行すれば、組織機能が吹き飛ぶリスクがあ
ります。
要は、経営者の意思決定の参考にする程度でコンサルタントを
活用することです。企業の組織内に存在する問題点を内部の社
員だけでみつけだすことはむずかしい場合もあります。この場
合、コンサルが提案した改革案を参考にしながら、経営者自身
が経営判断していく以外に答えはありません。答えは、常に経
営者の意思のなかにあるものです。
戦略の実行は、必ず経営者と現場の社員との協同作業に、なる
からです。