経営者は、経営計画の必達が至上命題だ。それは、私などがう
かがい知れない世界だ。だが、わきからみていても、経営者の
苦労は少しだけわかった。
ソニー子会社では、トップダウンで命令したりしなかった。経
営者が権力によって押し付けるようなことをすれば、経営のす
べては壊れることを理解されていた。
その理由も簡単だった。現場のオ—ナーシップを傷つけること
になれば、経営計画の必達はないからだ。目標に本気でコミツ
トするとは、現場のオーナーシップ以外にない。権力によって
命令されて気持ちよく働く人などいるわけがない。
経営者が描く未来像や目標を、ただ現場に押し付けてしまえば、
それらは単なる絵にしかならない。
経営とは、まさにこの葛藤だった。私はそれをまじかにみなが
仕事ができたことは人生最大の幸運だった。
ソニーが世界的な企業になった実践の原版をみせてもらった。
しかも、実践でだ。これほど経営を学べたことはない。