企業組織は、組織機能を動かすために職階を設け、同時に役職
を設けることで組織の運営をおこなうことが前提となっていま
す。権限を有する立場になったとき、権力の扱いはきわめて難
しいものだ、と思われます。自分自身を考えてみても、あるい
は、他の役職者の権限行使をみていても、いろいろな課題があ
りました。
やはり権限を有すると、権力を行使したくなるものです。たと
え、正しい権限の行使であっても、そこには権力を使うことが
できる自分がいるからです。自分に強く言い聞かせても、権力
(権限)をもつことで、自分は他の人間と違う、あるいは配下
の社員たちの生殺与奪権をもっているなど、と大きな勘違いを
してしまいました。
私は尊大な態度を取り、愚か者になりました。私のようなバカ
は、いとも簡単に権力に取り込まれます。
もっとも、経営者の方でもこのような態度の方がいましたが、
論外なのは言うまでもありません。このような経営者が事業を
発展させるどころか、あっという間に会社を倒産させました。
人間は、偉そうに部下を呼びつけて威張り散らすなどすれば、
その愚かさのために正しい情報は枯渇し、経営の方向性を誤ら
せます。このような態度では、社員はじっとしており、その救
いのなさに多くの社員はうんざりしていました。
しかも、簡単に人事権を振り回し、人や組織を無理やり動かそ
うとするものですから、疑心暗鬼が組織に渦巻くようになり、
組織は機能不全をおこし、最後は労働組合が結成されました。
愚かな経営者は勘違いをするものです。また、どのような職階
にあったとしても愚か者は、まともなマネジメントなどできる
はずがありませんでした。
人は、私を含めて権力に簡単に取り込まれます。取り込まれな
い経営者だけが、事業を成長させていきました。