企業というところは人間がつくっている以上、職場で働く人
間に関して、なにか偏りのあるような人物にはレッテルが貼
られるものです。あいつは扱いづらい、あいつは面倒な人間
だ、といったネガティブなレッテル貼り、その人物を疎外す
るようなことが間々起きます。
私は、どういうわけか、この手の人間が好きでした。いわば
私の主観です。自分でそう思うだけだからです。だからでし
ょう、すぐにそのような人物のところへ行って話を聞きます。
実際に会って話をしてみると、社内で言われているようなこ
ともなく、どちかといえば、正論でした。私は、正論を聞け
ば、社内で誰が言ったかが問題ではなく、なにが問題かをテ
ーマにして業務改善をおこなってきました。
そのようなことをやっていれば、社内で問題児扱いされてい
た人物でも、仕事に邁進してくれるようになってくれもので
す。しかも、この手の理屈屋は優秀な人が多かった、と私は
思っています。私が多少仕事ができたとすれば、このような
人たちの話を素直に聞いて業務改善を進めたからです。
人を活かす経営とは、誰が言ったかではないのです。なにを
言ったかが重要です。そのように割り切って仕事をしていけ
ば、会社の問題点は明白になります。
このタイプの人たちは、人をみて仕事をしているからです。
駄目な人物が言うことには、なにも反応しません。言っても
無駄だし疲れるだけだからです。
ところが、私のようなずけずけ入り込んで業務改善をやって
しまう人間には好意的になってくれます。
私は会社をよくしたいわけですから、クセがあろうとなかろ
うと、そんなことは問題ではないのです。
どこで業務が滞っているか、その問題点を発見すること重要
なのです。
経営者こそ、様々な人たちを活用しなければなりません。感
情に囚われては、何も生み出すことはできません。それより
も、ビジネスにおいては、自分の感情は放っておいて、部下
の力を最大限に引き出して、目的に合った行動に徹して、事
業の成果を求めるべきです。
そもそも、会社というもの家族や村落など感情的な結びつき
を基盤にした集団 ではなく、目的達成のために人為的につく
った集団です。
本来、感情的な結びつきをベースに集まった集団ではないわ
けですから、好き嫌いを表に出すこと自体がふさわしくあり
ません。
一方で、経営者も人間ですから、自分の主観を大切にしてい
くことも大切です。社員を好きになれば、経営者との性格的
な相性ではなく、その人がもつ能力をみつける努力ができる
ようになります。
そして、多くの部下たちとフラツトに付きあっていくことで、
チームワークを優先しながら、成果を出してもらうという割
り切った関係を築いていくことが可能となります。
この点で、ドジャースのロバーツ監督から学ぶべきことはた
くさんあると、私は思っています。
監督(経営者)によって磨きがかかってくる人間がでてくる
ことで、長期的な戦いに勝っていくことができるようになる
からです。