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マネジメント

人間の存在は主観が客観をつくる

ドジャース、ロバーツ監督の選手起用をみていると主観的な判
断が多いのではないでしょうか。
主観的な判断ということは、選手を信じようと努力する裏返し
でもあります。あるいは、自分(監督)が、この選手の未来
(ゲームを作る力)を信じたいと思うことです。
今シーズン、ドジャースはかなりの選手が調子を落としており、
なかでもレギュラーのパヘス選手は打撃不振が続き、打率が一
割台と低迷していました。
本来でもあれば、マイナーへ降格させて、マイナーから新たな
選手を引き上げることも考えらえたと思われます。
ロバーツ監督は、そうしませんでした。
打撃成績という客観的な指標ではなく、ロバーツ監督自身の主
観を大切にしていたと思えます。

主観的な判断とは、世の中では好き嫌いという言葉が使われる
こともありますが、私は、採用試験を担当するなかで、客観的
な評価が同じであれば最後は主観的な判断をしました。
自分を信じて判断するということになります。
採用試験といえども、実際の対応においては、客観性だけでお
こなわれているわけではありません。
そのため、必ず面接試験がおこなわれます。
面接試験とは、いわば主観的な判断、俗にいう好き嫌いで判断
するということでしょうか。
もっとも、企業というところは、口が裂けても「好き嫌いで採
用を決定しました」とは言いません。

社会というところは、本音を避ける仕組みを作っています。
野球では、個人の打撃成績や投手の防御率などの客観的な数字
によって選手の能力が明確になります。
その点から言えば、今シーズンのパヘス選手の打撃成績は、開
幕から長く一割台で低迷していましたから、マイナー降格があ
っても不思議ではありませんでした。
ところが、最近の試合でパヘス選手の打率は、290台まで急上
昇しています。
私は、ロバーツ監督がパヘス選手を信じようとする強さを感じ
ました。打率は客観的なものですから、まわりの人間はあれこ
れと書き立てます。打率や防御率は、まさに選手の能力評価そ
のものです。

ロバーツ監督は、それらの批判に怯むことなく、パヘス選手を
使い続け好成績を引出しました。
このような事実をみると、私は、人間の存在とは主観が客観を
作るのだ、と確信できました。
本来、人間関係は主観的なものによってつながっているのでは
ないでしょうか。
誰を使うかは、監督の主観(極論で言えば好き嫌い)です。
打撃成績や防御率だけで判断するのではあれば、野球の監督こ
そAIに任せるべきでしょう。

私にも、似たような経験がありました。
もっとも、MLBレベルの話ではありません。
あくまで私の仕事レベルの話です。
ソニー子会社時代の社長は、私を総務の責任者へ抜擢しました。
専門知識もなく、経験もない私を推したのですから、この人事
は、社長の主観でしかありませんでした。
それでも抜擢された私は、必死になって専門知識を学びながら、
日常業務に邁進しました。

その結果、なんとか総務の責任者の仕事ができました。
もっとも、その評価は現場の方たちからもらったものでしょう。
私が勝手に決めたわけではありません。
評価の陰には、社長の主観があったと思います。
私もこの主観に応えようと、真剣に仕事に励みました。
社長の主観に、私の主観が重なり合いました。
当然、両者ともに相手に好感をもていました。

ロバーツ監督をみていると、主観をベースに選手を起用してい
るように思えます。
マンシー選手、ロハス選手、キケ・ヘルナンデス選手をはじめ
多くの選手が、ロバーツ監督の主観によって期待を感じとり、
それぞれの役割のなかで期待に応えているように感じています。
主観による選択は、長い時間をかけることを厭いません。
成績が悪くてもそうそう簡単にあきらめません。
我慢することができます。
長く打撃不振が続く選手に対して、外野(評論家など)がうる
さく批判をしますが、ロバーツ監督は意に返さず極度の打撃不
振に陥っている選手を試合で使い続けました。

とくに佐々木投手は、ロバーツ監督の主観にかなった選手のよ
うに感じます。ロバーツ監督が、長い時間をかけて育成してい
こうという強固な意思がみえます。
人は誰かの主観によって客観的な存在になっていくのではない
でしょうか。ハーバード大学の面接試験は主観で決定される、
となにかに書いてありました。
試験においても最終的に人間を判断するのは主観なのです。
この主観によって、人は客観化されていく、と私は固く信じて
います。

人生とは、多くなくとも、このような出会いが大切ではないで
しょうか。
人が成長して成果を出したり、結果を残すという客観化には、
実は、ロバーツ監督がもっているような主観という存在がある
と思われます。
ロバーツ監督は、間違いなく主観を大切にする人です。
主観を大事にする人は、多くの批判をはねのけることができる
信念の人でもあるようです。
MLBは長い戦いです。
監督が主観を大事にしているからこそ、選手は、長い時間軸の
なかで活躍できるチャンスをつかみます。

人間が活躍するには、時間の流れを信じていける勇気が必要な
のかもわかりません。
MLBをみていると学ぶべきことがたくさんあります。
大谷選手の活躍もすばらしいのですが、私は、ロバーツ監督の
マネジメントにも大きな魅力を感じています。
企業の経営者がみても、人間を知るための大切な学びの機会に
なるのではないでしょうか。

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