経理 記帳代行ならエヌエスアカウトスタッフ

組織

組織運営には極力政治を入れないほうがよい

会社生活は、なにかの目標に向かって社員が協力しながら目標
を達成していくことに意味がある。
人間一人ではなにもできない。
私のような人間関係を嫌っているものでも、企業というところ
では協同作業になるし、協同作業ができなければ会社生活もな
い。私は仕事を機能としてやっていく分には、他の人たちと協
同作業をやっていくことにとくに問題はない。

ところが、会社というところは政治が入ってくるところでもあ
る。
辞書によれば、政治とは「国を治める活動。権力を使って集団
を動かしたり、権力を得たり、保ったりすることに関係ある、
現象」だそうだ。
中小企業は、まさに仕事よりも政治の世界のほうが多かった。
企業が大きく成長しないわけだ。
政治的なことでも企業を発展させていくためにおこなう崇高で
高度なものであればよいのだが、だいたい親分子分の関係(い
わゆる派閥)となり、自分たちの利害だけで動くようになりや
すい。
これが問題だ。
さらにベタベタした人間関係になっていることが多いと感じた。
私はこれが一番苦手だ。

また、親分子分の派閥経営では、自分たちの利害を中心に経営
をおこなうのだから、企業はまとに成長しない。
大企業でも人間が企業を運営している以上、大なり小なり派閥
ができている。
それでも意識が高い経営者や管理職、あるいは社員の存在、さ
らに部下などから尊敬されているような人間がいれば、組織は
まともな方向に動いていく。
大企業でも派閥はあったが、企業の成長を真摯に考えている人
間は少なからずいた。
まさに組織のなかで正論を堂々と発言できるタイプの人間だ。
このような人間のおかげで企業経営がまっとうな方向へ動いて
いく。

ソニー子会社では、役員や管理職という肩書に関係なく、社員
でも積極的に発言する。
なかなか強烈だった。
言いたい放題だったかもわからない。
なかには役員が怒っているケースもあったが、それでも社員の
発言は止まらない。
当時の社長は、発言を止めようともしなかった。
この社長が怒ったのを見たのは、部長に対して一度だけだった。
ある会議の席だったが本当に怖かった。
普段、私たちと接するときは、いつもにこやかなのだが、この
ときばかりは迫力があった。

仕事の本質に立ち返ってみれば、会社というところは、仕事を
機能だけみていればよい、と私は考えてきた。
人間関係が前提ではないが、協同作業はマストだ。
そんなわけで、人間関係も仕事をベースにつくってきただけだ。
そんな私でも役職にかかわらず尊敬できる人たちとの関係は大
切にしてきた。
目標に向かって決まったことを協同作業するだけでよかったソ
ニー子会社時代は、私の理想の組織だった。
政治もあることにはあったが、常に仕事>政治だった。
それも政治的な動きや発言は、おそらく私が経験した他の企業
と比較すれば、ないに等しかった。

だから、役員や管理職を含めて社員みなで目標に邁進できた。
私のようにベタベタした人間関係を好まない人間には、仕事を
機能として捉えていたし、他の人たちと協同作業すること自体
が楽かった。
出世など無用だった。
だが、そんな組織とて長くいることは危ない。
長くなれば政治的な流れのなかに飲み込まれることがあるから
だ。
採用してもらった社長も定年退職となり、自分が挑戦できた在
籍期間(6年半)が丁度よかったと思う。
私はなにごとも、さっぱりしている。

人生とはデザインできないが、数少ないすばらしい出会いがあ
るところだ。
会社というところは、人間が協同作業できるところであり、人
間が切磋琢磨することで人間らしい生き方ができる場所でもあ
った。
そんな会社員人生もあるのだ。
経営者は仕事に対して厳しくてよい。
だが、政治的発言や行動をしてはならない。
常に企業の成長とともに、人間としても成長できる企業経営を
心がけていかなくてはならい。

ソニー子会社は、仕事に対する強烈な厳しさがあったが、同時
に仕事を通して人間として成長させてもらえる場所だった。
井深さんや盛田さんから受け継がれていた社風を当時の社長か
ら学ばせてもらった。
自由な空気に満ち溢れていたが、仕事に対する姿勢に妥協はな
かった。
仕事ではドライな関係だったが、人間的にはウェット関係があ
った。とても不思議なバランスなのだ。
それがソニーなのだろう。
会社というところは、本来、人間にとってすばらしい場所なの
だ。
だからこそ、今もこうして幸福感がもてる。

news allread more

share this one