すぐれた経営者は決して被害者意識を抱いていませんでした。
自分の地位や状態は自分の責任であり、親、配偶者、子ども、
政府、上司、同僚の責任ではないことを理解していました。
私が実際にみた有能な経営者は、人生で起こることすべてに
真正面から正々堂々と向き合い、全力で対処されていました。
自分が責任を引き受けることによってのみ、人びとを導く機
会が得られることを知っていたからだと思います。
私たちは生き残るために一日八時間働いていますが、ー日八
時間では企業で生き残るための最低限の働き方でしょう。私
は、多くの企業で働いてきましたが、とくにソニー子会社で
は八時間を超える労働は、すべて未来への投資だ、と確信で
きました。
おそらくですが、仕事において最低限のことしかしないなら、
潜在能力を最大限に発揮することはできないと想像できます。
優秀な社員は、経営者と同じように仕事を成し遂げるという
姿勢を維持するために、経営者はなにを考え、何をしている
のか、と観察していたものです。また、優秀な社員ほど自分
たちは自営業者だと考えているようでした。
経営者がより多くのことを成し遂げ、部下との信頼関係を築
き上げたいのなら、すべての責任を引き受ける心構えで仕事
に臨むことが必要でしょう。その姿勢に多くの社員が共感し、
あるいは尊敬することでビジネスで大きな成功を収めること
を可能としていました。
もっとも、このような創業経営者は、一人だけでした。
これも現実です。