大手企業で働くことは、中小企業に比べると厳しいものがある。
仕事の時間もそうだが、仕事の質も重要になるからだ。だが、
他方で組織を預かる人間には、部下の面倒見がよい人が結構い
る。
上司や経営者から常にプレッシャーだけを与えられていれば、
どんなに優秀な人間でも長くは続かないだろう。
上司にプレッシャーばかりかけられていれば、β波が出続けて
自律神経失調状態になると言われている。
やはり人間が組織のなかで仕事をしていくためには、経営者や
上司との人間関係は大切だし、仕事の前提となる。
滅亡した企業組織には、組織を率いるリーダーたちが、常に与
えることではなく受け取ることだけに専念し、人材が他の資源
と違って容易に取り替えられないことを理解できていなかった
人間によって運用されていたのだ。
多くの社員は、自分たちの利益をいつも念頭に置いてくれてい
るリーダーを尊敬するものだ。経営者や上司が部下のために自
分が受け取ることよりも、部下に与えることを心がけているか
ら、部下は自らを鼓舞しながら働くことができる。
中小企業では、仕事はゆるいが仕事の質を高める前提となる経
営者や上司と部下との間の人間的な営みが希薄だし、関係があ
っても飲み喰いレベルの話だ。
所詮、そこには尊敬などは生まれない。
いわば、親分子分の関係だ。
仕事は、社員からすれば人生を決するものだ。そんな社会の重
要な機能である会社のなかにあって、本当の意味での人間関係
が築けないから中小企業は成長拡大することがない。
これは私が実際に体得した結論だ。
大手企業では、仕事が厳しくなればなるほど人間としてサポート
していた。
それは人生を決するほどの関係だ。
会社を離れようとも続く、永遠の関係だ。
残念だが、中小企業には、このような関係はなかった。
中小経営者は、よく考えてみることだ。
とくにこれからの中小企業には意味がある。