中小企業ほど定年退職者を再雇用する場合には、注意が必要
です。理由は、制度設計等をおこなっておらず、中途半端な
雇用になっているケースが多いからです。
再雇用をする場合は「再雇用の終わり」について適切に制度
設計をすることが必要です。何事も終わりが大切です。
定年がないという会社はかなり魅力的ですが、定年を理由に
退職してもらうことができないというリスクがあります。
その覚悟を引き受けることになります。
高齢者の方は人生を達観していて、問題行為などなどおこさ
ないという淡い期待だけで、企業内の雇用関係がうまく運用
されるわけではありません。
やはり年齢に関係なく問題行為をする人間は出てきます。
企業は、このような雇用の問題点を理解しながら、高齢者雇
用を継続する前提として、必ず「終点」はしっかりと設定す
ることがポイントになります。
例えば「雇用を延長しても 70歳で満了する」といった、いわ
ば第二定年制を就業規則に明示することが重要となります。
問題を発生させる企業には、ふたつあります。まず、就業規
則が従来通りの継続雇用者を対象にしたもので、第二定年制![]()
の定めがないケースです。もうひとつは、会社が、定年後引
き続き雇用される有期特措法の対象となる有期雇用労働者特
例の適用に関する認定を申請もしていない場合です。
問題がある社員がいても、定年すらない無期雇用ということ
になってしまいます。本人が「辞める」と言うまで、会社と
して雇用を続けざるを得ない状況に陥ることすらあります。
もっとも、問題があれば解雇ができますが、解雇が著しく難
しいことを経営者はあまり理解していません。
このようなケースでは、会社から退職勧奨をすることしかあ
りません。「70歳以上の人も雇用しているのに、なぜ退職を
勧めるのか」と反発されることもあるでしょう。
時間をかけながら交渉し、最終的には相応な金銭の退職金を
負担することで合意することも想定されます。
本来、雇用継続者に退職金はないのですが、制度を見落とす
ことで問題が露呈します。一般的には、問題が顕在化してい
ないことで、就業規則の変更といった重要なことなのですが、
問題意識が低く、後回しにしてしまう中小企業の経営者は多
いものです。
曖昧な運用をおこなっていれば、問題がある社員によって、
突然課題を突き付けられて慌てることになります。
制度とは、そもそもなにも起こっていないときに構築してお
くべきものであり、問題が発生して遡及して対応することが
できません。いわゆる後の祭りです。
第二定年制を設定していないなど就業規則のミスが露呈する
と、思わぬ問題を抱え込むことになります。
制度は、あくまで転ばぬ先の杖なのです。