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コーポレートガバナンス

非財務情報が注目されていますが、どのようなものでしょうか

近年、「非財務情報という言葉に注目が集まっています。
特にコーポレート・ガバナンスを扱う業界では、当たり前の
ように使われているように思います。
非財務情報(指標)とは、企業の財務的な側面以外の業績や
価値を数値化して示す指標のことを指します。これらの指標
は、企業の社会的、環境的、および統治に関する側面を評価
分析する際の基礎となる情報を提供することのようです。
具体的には、企業の持続可能性、社会的責任、従業員の福利
厚生や顧客関係などの非財務的な側面を数値で表現するもの
です。

財務以外の情報という意味で、おおざっぱな表現の仕方です。
この非財務情報という言葉は、国会、それも議員や大臣では
なく、首相の口からでました。
2021年 10月 8日の臨時国会。岸田文雄首相は所信表明演説
で、看板政策の「新しい資本主義」を説明する中で非財務情
報という言葉を使いました。
「次に、分配戦略です。第一の柱は、働く人への分配機能の
強化です。企業が、長期的な視点に立って、株主だけではな
く、従業員も、取引先も恩恵を受けられる『三方良し』の経
営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開
示の見直しなど、そのための環境整備を進めます」と語りま
した。非財務情報の開示を進めることを示しました。

岸田内閣の新しい資本主義で中核をなすのが、分配戦略の見
直しですが、これは企業が生み出した金銭的な価値をだれに
どのような形で分配するのかという政策であり、それを改革
する政策をやるということでした。
現状がどのようになっているかは、それぞれの人たちの判断
によるのでしょうが、そのように首相は宣言しました。

安倍元首相は、「攻めのコーポレート・ガバナンス」という
言葉でコーポレート・ガバナンス改革を推し進めました。そ
の結果、企業社会に株主重視の流れが生まれましたが、この
株主重視の姿勢は、株主の発言力を強め、特に外資系の投資
ファンドを日本市場に参入させることとなり、それによって
株高が生まれ日本経済は好循環を引き出すきっかけとなった
ようです。
しかし、その半面、社会に少なからずひずみを生じさせ、こ
の 10年で、配当や自社株買いといった株主還元策が急増し、
株価は上がったが、短期間で売買を繰り返す欧米の機関投資
家は、この株高の恩恵を受けましたが、半面、労働者の賃金
や企業の研究開発費は伸び悩み、横ばいの水準であることか
ら社会における格差が拡大しているといわれています。
女性や子供の貧困が社会問題化したことやこども食堂も全国
に広がったことなどで、首相はこのような状況を変えようと
考えたのではないでしょうか。

非財務情報は、まだその途上であり、私にはわかりにくいも
のですが、「資本主義は多くの資本で成り立っていますが、
モノからコトへと進む時代、付加価値の源泉は、創意工夫や、
新しいアイデアを生み出す人的資本とは人です。しかし、わ
が国の人への投資は、他国に比して大きく後塵を拝していま
す。今後、官民の人へ の投資を、早期に、少なくとも倍増し、
さらにその上を目指していくことで、企業の持続的価値創造
と賃上げを両立させていきます」といっていますから、人へ
の投資のために非財務情報を積極的に開示させることで、人
的投資が強化していきたいという考え方で根底にあるようで
す。

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