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労働時間

営業職の残業代も多くの企業で間違った運用をしています

営業職も残業代の未払いが起きやすい職種ですが、私が
在籍していた時代の営業職は、事業場外労働のみなし労働時
間制といわれて、一切の残業代は支給されませんでした。
営業職における時間管理は、注意する点があり、そこを知ら
ないまま「事業場外労働に関するみなし労働時間制」を運用
している企業が見受けられます。

営業職も残業代の未払いが起きやすい職種です。会社は従業
員の就業時間を管理をおこない、就業時間が1日8時間、週40
時間を超える場合、時間外割増賃金を支払う義務があります。
この原則は、営業職の社員の場合でも同じです。
ただし、社外での業務について、会社で営業職の従業員の就
業時間を把握することが難しい場合は、「事業場外労働に関す
るみなし労働時間制」を採用することが可能となります。
(労働基準法38条の2)

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」を適用するとき
は、原則として所定労働時間労働したものとみなされるため、
時間外割増賃金が発生しません。
私の営業職時代も、これを理由に、営業職の残業代支給を対
象外としていました。

もっとも、私は若干疑問をもっていました。営業手当として
当時15,000円(正確ではありませんが)が固定手当として支
給されていましたが、いくら自分で労働時間を管理している
といえども、とくに地方の営業活動の実態からみれば、この
手当額で残業代を補填されているとは言い難く、企業は労働
時間を把握して営業手当の額を個人別に検討する必要がある
と考えていました。
その後、人事の仕事をするようになり、このようなみなし部
分においても企業は労働時間を把握する義務があり、営業手
当(固定残業代として)を労働時間の実態と合わせていくこ
とを理解することができました。
労働基準法38条の2第1項ただし書きでは、「当該業務を遂行
するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要
となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令
で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる
時間労働したものとみなす」とされているからです。

そもそも「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適用
が認められるのは、営業先への直行直帰が多いなどの事情に
より会社による就業時間の把握が困難で、かつ、営業先での
行動スケジュールを会社から指示されたり、あるいは会社か
ら営業活動について具体的に事後報告する必要がなく、さら
に、社外における営業活動中に携帯電話等で会社から適宜指
示を受けないようなケースに限られています。

営業先において行動スケジュールを会社から直接指示された
り、あるいは営業先での行動スケジュールの詳細を具体的に
事後報告しているような場合は、判例上、会社は、社員のス
ケジュールの指示や報告によって労働時間を把握し、管理す
ることができると判断され「事業場外労働に関するみなし労
働時間制」の適用は認められていません。
「事業場外労働に関するみなし労働時間制」は、会社による
労働時間の把握が、きわめて難しい場合に限り例外的に認め
られる制度になっています。
私が在籍していた企業は、この前提でみなし労働時間制を運
用していました。

営業職の従業員について、事業場外労働に関するみなし労働
時間制を適用できるケースは、実は、非常に限られているこ
とに注意が必要です。
また、事業場外労働に関するみなし労働時間制を適用できな
い営業職の従業員については、タイムカードを打刻させる、
あるいは始業時刻、就業時刻を報告させるなどの方法によっ
て、会社が労働時間を把握し、残業をおこなっているような
場合、時間外割増賃金の支払いをすることが必要となります。

営業職に関しては、企業によって営業活動そのものが大きく
違いますから、その実態を把握して労働時間管理を検討する
ことが求められます。
この点でも中小企業ほど労働基準監督署の臨検等で指摘を受
け未払い残業代として是正勧告を受けることが多く、専門的
な知識を有する弁護士などの助言を得て運用することが重要
となります。

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