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労働時間

36協定を守っていれば、過重労働の問題はないのでしょうか

企業には、労働者が安全と健康を確保しつつ就業するために
必要な配慮をする義務があります。
安全配慮義務といわれます。
安全配慮義務は、労働契約法第5条に定められている法律上の
義務ですが、過重労働は、従業員の精神疾患、過労死、過労
自殺などにつながる危険性があり、企業は安全配慮義務の観
点から従業員が過重労働にならないように配慮する責任があ
ります。

企業では、一般的に時間外労働、休日労働があります。
時間外労働、休日労働がある会社は、36協定を締結し、労働
基準監督署に届け出ることが法律上の義務とされています。
刑事上の免責規定となっていますから、届出を怠って、時間
外労働をさせれば経営者や責任者は、摘発されることになり
ます。
一般的な企業は、先ずきちんと届出をおこなっていますが、
忙しくて忘れている場合がありますから、その場合、すみや
かに届出をしてください。
そのうえで、各従業員の時間外労働、休日労働が36協定に定
められた労働時間の範囲内にとどまっているかどうかを常
に確認する体制をつくっておくことが重要です。

労働基準法上、36協定では、時間外労働は原則として月45時
間、年360時間以内とされています。ただし、例外として、
年に6か月まで月45時間を超える時間外労働をさせる場合が
あることを36協定で定めることも可能です。これを「特別条
項」といいます。

他方、36協定は、労働基準法上、最低限守るべき基準を定め
たものであり、これを守っていれば、過重労働の問題が起き
ないというわけではないことに注意する必要があります。
東芝事件(東京高判平成28年8月31日)では、東芝側がうつ
病を発症して欠勤と休職に至った従業員を、欠勤を開始して
から約3年後に休職期間満了を理由に解雇したことが発端で
した。

従業員は、解雇は不当解雇であり、うつ病の発症は会社の過
重労働によるものだとして、東芝に訴訟を提起し、12年間に
もわたる裁判の結果、東芝は約6,000万円の支払いと従業員
の雇用の継続を命じられています。
この事件では、会社の業務がうつ病を発症させるほど過重な
ものであったか、が大きな争点のひとつになっています。
この従業員は、うつ病発症前6か月間の時間外労働の平均 が
69時間54分であったと認定されています。
裁判所は、このような時間外労働の長さや、当時、この従業
員が初めてプロジェクトのリーダーとなり、負担が大きな業
務についていたという点を踏まえれば、業務は相当過重なも
のであったとして、東芝側に安全配慮義務違反があったと判
断しました。

36協定で定めることができる1か月の時間外労働の上限は、
休日労働とあわせて100時間未満までであり、36協定を守っ
ていても、6か月間の時間外労働の平均が70時間を超えるこ
とは制度上は十分あり得ます。
しかし、裁判所は、平均69時間54分の時間外労働と業務の
負担を考慮して、東芝の安全配慮義務違反を認めています。
裁判例からすると、36協定の基準を守るだけでは、過重労
働対策として不十分なのです。

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