私が、経理の仕事を覚えたころは、すでにコンピュータ会計
でした。コンピュータ会計の良いところは、仕訳伝票から元
帳、試算表がすぐにできることです。
簿記の知識があれば、チェックも容易にできるでしょう。
問題があるとすれば、簡単な入力作業で経理計上ができ、安
易な処理をしてしまうことでしょうか。
また、コンピュータ会計では、すぐに仕訳の間違いなどを修
正することができるので、経理計上時、正しい仕訳をおこな
うという意識が低くなるように思えます。
私が仕訳伝票に入力作業を行う場合でも、少々緊張感を欠い
ているときは、入力ミスをしていますが、修正は簡単にでき
ます。
一方、上場企業の経理業務は、内部統制の観点から経理伝票
は安易に修正、削除することができません。
必ず訂正伝票を起票して間違った仕訳を訂正します。確実に
修正履歴を残すことになります。
一度入力した仕訳伝票は、ロックされており、再度同じ仕訳
伝票には入力ができません。
私は、このような環境で経理の仕事をはじめましたから、経
理部門の上司や他の社員に結構迷惑をけました。
上場企業における経理では、早い話、担当者の経理レベルは、
一目でわかります。
当然ですが、毎日の仕訳伝票への入力作業は、緊張感と相応
の集中力をもっておこなうことになります。
入社した企業が、中小、中堅企業のような場合、このような
経理計上の作業の精度から仕事を見ておく必要があります。
この点で言えば、上場企業との経理レベルの差は歴然として
います。
経理という仕事は、いろいろと問題が発生しやすい環境があ
りますが、経営者自らが、はじめから正しく経理処理
を
しておく習慣を身につけておけば、正しい数字が事業の拡大
を支えてくれるでしょう。
とくに株式公開を目指すような場合、このような経理の基本
を徹底させておくことが、上場後も事業を成長させていく要
になるもです。
このことを理解できている経営者がいる企業は、上場後の業
績がよいことも特徴でしょうか。
もちろん、ビジネスですから業績のアップダウンはあります
が、正しい会計処理をおこなっておれば、事業における問題
や課題の発見ができ、経営者は、それだけはやく問題等へ対
処することができるようになります。