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労働問題

退職勧奨が退職強要になる場合について

執拗に退職勧奨をおこなうと退職強要と判断されることがあ
ります。退職勧奨のための面談について、1回あたりの面談
時間や、退職勧奨の回数、退職勧奨を行う頻度について合理
的な範囲にとどめなくてはなりません。

1回あたりの面談時間は30分ほど、長くても1時間以内にとど
めておきます。話し合いを無理に1回で終了しようとしたりす
るのではなく、相手の意向も確認しながら何回かに分けて継
続して話し合いをすることが大切です。

退職勧奨の回数は、退職勧奨の面談を数回していたり、ある
いは従業員が退職を拒否している場合でも、退職の方向で説
得し、従業員に考えなおしてもらうこと自体は、合理的な範
囲内であれば問題がないとされています。

私の経験でも、遅刻が多く、懲戒処分してもなお遅刻を繰り
返すため、数回にわたって退職の説得をおこないました。
固くなに退職を拒否していましたが、何度か面談をしている
なかで、従業員本人も、考え方が変わったようで、ある日、
電話で直接私に退職する旨、本人から連絡がありました。
そのときは、退職に踏ん切りがついたのか、晴れ晴れとした
声に変わっていました。
可能な限り、会社側の意向と本人の考え方が変わってくれる
よに話をしますが、うまくいく場合ばかりではありません。
やはり人事労務担当者は、基本的な知識をもったうえで、慎
重な対応が求められます。

判例では、サニーヘルス事件(東京地判平成22年12月27日)
では、1回あたり30分程度の面談を、7回ほどおこない退職勧
奨したことについて、適法な退職勧奨の範囲内と判断してい
ます。
もっとも、退職勧奨があまりにも多くの回数になる場合は、
違法となり、多くの回数の面談をおこなっても退職の合意を
得られないことは、そもそも退職勧奨の方法に問題があるこ
とがほとんどではないでしょうか。

退職についての話し合いを本人が拒否する姿勢をとっている
場合は、同じ方法で繰り返し退職勧奨を続けるのではなく、
本人が認識している誤りや齟齬を修正する努力をおこなうな
どして退職勧奨をおこなうことが重要です。
退職勧奨の頻度については、サニーヘルス事件における週に
1回程度の面談を7回程度が前提になりますが、企業体質や従
業員個人の性格なども関係してきますから、人事労務担当者
は、その背景を把握して適法な退職勧奨の範囲内で解決する
努力が必要になるでしょう。

当たり前なのですが、できていない中小企業が多いのには驚
きましたが、退職勧奨のときに怒鳴ったり、机をたたいたり
といった威圧的な言動をする管理職や経営者がいるのです。
絶対にしてはいけません。
裁判例では、退職勧奨の面談の場で会社側が従業員を侮辱す
るような発言をしたことで退職勧奨を違法と判断したものが
あります。
さらに退職の説得で、従業員の近親者ら第三者に働きかけた
ことなどで、退職勧奨が違法であるとした事例もあります。
このような点を踏まて退職勧奨をおこないますが、中小企業
などのように専任の人事労務担当者がいなければ、労働専門
弁護士にはやに相談しておくことが最善の方法です。

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