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雇用制度

嘱託社員の雇止めに関しても注意が必要です

従業員が正社員として定年となり、嘱託社員などで再
雇用する制度を採用している会社は多いと思われます。
平成 25年4月に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
(以下、「高年齢者雇用安定法」)が改正され、企業は従
業員に対して、少なくとも65歳までは雇用の機会を与え
ることを法律上の義務としました。
令和3年4月にさらに高年齢者雇用安定法が改正され、企
業は70歳までの就業機会を確保するための努力義務が定
められています。
今後、年金受給開始年齢の引上げが進み、定年後再雇用の
期間がさらにのびていくのではないでしょうか。

定年後の再雇用社員については、多くの会社では1年契約
の有期雇用を更新する形で雇用が継続されていると思われ
ます。
そのため、定年後再雇用社員についても「契約社員」と同
様に「雇止め法理が適用されます。
その結果、簡単に問題があるといった理由だけで会社が契
約を更新せずに雇用を終了すると、その雇止めが無効とさ
れることがあり、対応には慎重さが求められます。

現状でも定年後の再雇用社員との雇用に関するトラブルが
訴訟に発展するケースが増加しているようです。
今後、採用環境が、益々厳しくなるとともに、定年後の再
雇用者を活用することは企業の人事戦略においても重要で
す。退職者という人材をどのように活躍させるかで、企業
の業績に大きな影響がでてくる時代に変わっていく可能性
がでてきました。
人事的な課題は、これから一層増加すると思われます。

平成26年3月25日の東京地判の判決は、タクシー会社
が60代前半の定年後再雇用社員を解雇、雇止めした事案
について、会社が敗訴し、約800万円の支払いと雇用の
継続を命じています。
この事例では、会社は、問題の社員について、社長から金
銭の貸付けを断られて口論になり、さらに過去に暴力団と
の関係があったことをほのめかすような発言をするなど、
言動にかなり問題があったことを解雇、雇止めの理由とし
て主張しましたが、裁判所は会社側敗訴としています。

他にもありますが、中小企業においては、契約社員
からといって簡単な理由で雇止めをおこなえると考えてい
るケースをみてきましたが、ひとつ間違えば、上記判例と
同様な結果となったでしょう。
私が在籍していた企業で訴訟にならなかったのは、元従業
員が提訴しなかっただけです。
判例からも理解できるように、定年後の再雇用の社員につ
いて解雇や雇止めを行うことのリスクを軽視してはいけま
せん。思わぬ事態になることがあります。再雇用社員につ
いても、問題があるような場合は、可能な限り話し合いを
おこなうことで円満に退職してもらえるように説得しなが
ら解決することがベストです。

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