ベンチャー企業や小企業では、経営者の能力次第ですが、社
員数が増えてくれば社員の能力を活用していく方向へ舵を切
っていくことが求められます。
これができない経営者が多いと、私は感じています。
経営者自身の能力を絶対としていることがほとんどで、社員
の能力を過小評価しています。要は、社員を信用していませ
ん。また、ある時期から息子たちが経営に参画するなど、身
内を中心に経営をまわそうとしたりします。
当然、社員はこのような状況をみていますから、さらに萎縮
していき、本来の能力を出さないようになります。むしろ、
このような状況で元気がよい社員は、中身がない勢いだけの
人間が多くいました。その結果、事業は益々悪化していきま
す。
やはり仕事は、チームでできるかどうかが勝負です。そのた
めに社員の自主性を尊重しながら自ら意思決定できる
よ
うにしなければなりません。このとき気を付けなければなら
いことは、ただ企画提案だけしてくるタイプ(いわゆるお調
子者)か、自分が出した企画が通れば、実行することになり
ますが、その責任をきちんととれるかどうかを見ておかなけ
ればなりません。
とくに失敗したときは、自ら責任を取る。うまくいったとき
は、チーム全員の貢献というような自らに厳しく、謙虚なタ
イプをみわけて、そしてさらに育成していく努力を、経営者
はしなければなりません。
このプロセスは、時間がかかります。その辛抱ができる経営
者だけが、企業を成長させていくことができます。
簡単なことなのですが、社員を信用し、時間がかかるプロセ
スを辛抱できない経営者が非常に多いのです。
企業を成長させてくことは簡単なことなのですが、社員を信
頼する、社員を成長させるプロセスを辛抱する、ということ
ができないのが、多くの経営者という生き物の宿痾でしょう
か。