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融資

銀行担当者の姿勢をしっかりとみておく

中小企業では、どこもだいたい借入をしていることが普通で
はないでしょうか。銀行からすれば、融資をしてきちんと返
済してくれる企業は大変ありがたい存在のようです。金利で
商売する銀行のスタンスからすれば当然ですが、そのような
中にあって他行から新規融資の話がきたりします。
その場合、金利が現在の借入金の利率より低いケースがほと
んどでしょうか。狙い撃ちするように融資を提案してきます。

この場合、経営者はどのように対応するのがよいか、と考え
てしまうものです。
新規の銀行や既存銀行においても、銀行員が「他行の融資を
借り換えませんか」と提案してくることがあります。今の融
資より金利を低くしますよ、とか、あるいは、長い返済期間
で借り換えることで返済負担が少なくなりますよ、とメリ
ットを強調します。
例えば、a銀行で残高1,000万円、残り返済期間24力月、月返
済額42万円、金利2.0%の融資があったとすれば、この融資の
借り換え分も含めて、b銀行は2,000万円、返済期間60カ月、
月返済額33万円、金利1.5%で提案してきたりします。

他行の融資を借り換えするb銀行のメリットは次のようなもの
でしょうか。

(1)借り換えのメリットを強調することで単なる融資の提
案よりも、企業が融資を受けたい気持ちにします。
(2)1,000万円融資するより、a銀行分の借り換え分を含め
て2,000万円を融資するほうがb銀行は融資量を増やせる。
(3)借り換え後、その会社に対するa銀行の融資総額よりb
銀行の融資総額のほうが上回れば、b銀行はメインバンクとな
ることもでき、b銀行はその会社との取引を深められる。

借り換えの提案を受けた社長から見れば、金利が下がり、毎
月の返済額も下がり、返済がラクになるようでメリットがあ
る提案だ、と思ってしまいます。
しかし、デメリットもあります。他行の融資を借り換えるデ
メリッ卜は次のようなことでしょうか。

(1)借り換えされるa銀行との関係が悪化する

(2)借り換えされるa銀行がメインバンクであり、借り換え
ることでb銀行がメインバンクとなれば、b銀行が今後、メイ
ンバンクとして自社に対し融資を積極的に行ってくれるかどう
かはわからないこと

実務では、このようにシンプルな形になるわけではありません。
理由は、融資を受ける企業、融資をおこなう銀行と、それぞれ
に様々な要素が絡んでくるからです。経営者の影響は、中小企
業の場合、とくに大きいでしょう。
私が経験した範囲で銀行を変えたのは、融資の金額や金利では
ありませんでしたが、ソニー子会社時代、メインバクから他の
都市銀行へ普通預金の口座を変更しました。その理由は、支店
担当者の態度でした。子会社の経理担当(管理職でもない)な
どまともに扱う必要がないという横柄さでした。私は、このよ
うなやり方が嫌いなタイプですから、運よく、他の都市銀行の
営業担当が飛び込みできたので、銀行システムの内容を確認し
ながら、メインバンクの交代ができないか検討しました。結果
は、飛び込みで訪問してきた銀行のファームバンキング
方が優れている点とトータルコストが下がることを理由として、
上司を説得して銀行を変えてしまいました。
後日、メインバンクの支店長が、給与振込だけでも残してもら
えないか、と上司のところ来ましたが、上司は担当者へすべて
任せているからと言ったものですから、銀行の支店長は唖然と
しがらも、この件は終了しました。

もうひとつのケースもメインバンクの担当者の態度でした。あ
からさまでした。中小企業相手に金など貸せるかという対応で
した。人生の中で、あまりみたことがないような悪態でした。
借入以前の問題であり、困っていたところへ、ある都市銀行の
担当者が飛び込みでやってきて、融資の話をしましたから、す
ぐに融資をお願いすることにしました。審査の上、比較的はや
く融資が実行され、結果的に、現在メインバンクになっていま
す。どこで銀行との縁ができるかわかりません。
飛び込みできた銀行の営業担当者ほど丁寧に応対することが大
切です。結構、優秀な担当者が訪問しているケースがあり、上
司に対して交渉力をもっていました。飛び込みなどと、人をば
かにしたような不遜な態度では、銀行と良い関係は築けないの
かもわかりません。

さらにもうひとつのケースは、前述した例のような融資ですが、
これには経営者と相談して、メインバク以下の融資比率になる
よう融資額を引き下げてくれれば融資をお願いします、と回答。
銀行の様子をみていましたが、それでもかまいません、という
ことでしたから融資を受け入れました。その後、事業が拡大し
ていったことで、その銀行が自然とメインバンクへ移行してい
きました。良い銀行というものは、企業に対して配慮しながら
手を差し伸べてくれるものです。

やはり新たな銀行の融資を受け入れる場合、既存銀行との取引
の歴史や支援の在り方など千差万別の条件が含まれます。本に
書いているように単純ではありません。事業の将来性や必要な
資金など、事業の全体から把握することが必要であり、そ
の場合、中小企業ほど銀行の協力がなければ、事業はうまくい
かないものです。短期的な金利などの条件だけでなく、事業の
拡大とともに歩いてくれる銀行を持つことが重要です。もっと
も、その前に自社で稼ぐという体質をいかに作れるかが、経営
者は、常に問われています。

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