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コーポレートガバナンス

内部監査制度にも独自性と差別化が必要

内部監査が必要な理由
大手企業では、内部監査部門をもっていますが、中小企
業ではこのような機能をもっていることはほとんどないでし
ょう。
大手企業が内部監査部門をもつ理由は、不正や不祥事が発生
した場合、企業が被るダメージが大きくなるからです。さら
に直接的なダメージだけではなく、その後の不正や不祥事に
対する対応よっては企業イメージや信頼が著しく低下します。
また、経営者が考えている以上にダメージが増大することさ
へあるのではないでしょうか。
不正や不祥事の発生によって失われたお客様や取引先など利
害関係者からの信頼を取り戻すことは容易ではありません。
不正や不祥事は企業の存立すら危ぶまれます。企業は、なん
といっても不正や不祥事を「未然に防ぐ」という覚悟が、こ
れまで以上に求められる時代ではないでしょうか。

他方、残念ながら、不正や不祥事は、どのような企業におい
ても、どのような対策を行っていても起こりうる可能性があ
ります。企業を取り巻く制度は、沢山ありますが、次々と不
正や不祥事が発生しています。
企業活動は、多様な人たちが分業することで発展してきまし
た。会社には、さまざまな人たちが在籍しています。ルール
を守る人、少しくらいならルールを破ってもよいと考える人
など、企業規模が拡大し、社員数が多くなればなるほど、企
業内における社員の統制はむずかしいものになります。

小口現金を少し借りた程度(窃盗)だと認識して、企業内の
ルールを破ったこと(本人はあくまで借りたというでしょう
が)が、規範意識を弱くし、次もまた、同様のことをおこな
い、段々と金額はエスカレートしていきます。
楽天モバイルで発生した詐欺事件などでは、想像を絶する
金額が不正に持ち出されていました。
会社で不正が発生するのは、社内ルールがないことが原因で
はなく、在籍している社員によって企業内のルールが無視さ
れることが原因ではないでしょうか。楽天モバイルのケース
は、いわば犯罪者を雇い入れている状況といってもよいでし
ょう。

残念ですが、企業が社内監査の制度を的確に運用しなければ、
不正などの手口は、進化し、巧妙化することになります。不
正や不祥事を防ぐためにさまざまな対策をとることは必要で
すが、すべてを網羅できるような対策を行うことは、なかな
かむずかしいものです。

内部監査にも独自性が必要
内部監査制度は、不正や不祥事を早期に発見する機能として
重要性が増しているようですが、この投稿では、何回かソニ
ーの内部監査制度について書いてきました。本来、内部監査
は、毎年監査計画に基づいておこなわれなければなりません。
しかも、被監査部門については、抜き打ちで実行することが
重要です。それだけで内部けん制がかかります。
また、不正を発生させないために、業務内容を把握し問題個
所を改善させ、あるいは会計処理の課題があれば指摘し、す
ぐに改善させます。
内部監査によって、業務プロセスや会計処理の問題点を洗い
出します。不正というよりは、このような観点から業務プロ
セスや経理計上の問題を早期に発見し改善させる機能があり
ます。そしてこの結果、不正を未然に防止することにつなが
る可能性が高くなります。

この点、ソニーでは業務や会計上の課題に対して内部監査で
徹底的な指摘と指導がおこなわれていました。その仕組みそ
のものは、企業が個別に考えながら、常に模索と改善の積み
上げからできあがるものです。だからこそ、他社と差別化で
きます。
日本企業では、内部監査制度においても独自性と差別化
に対する意識が低く、内部監査の体制そのもをコストと考え
ている経営者が多いと感じているのは、私だけでしょうか。
内部監査は、社会的、あるいは株主に対する責任を前提に構
築されるものですが、良き経営をおこなう企業では、企業を
限りなく成長させていくための投資だと認識しています。
反対に、このような意識をもたない経営者が率いる企業では、
これから先も不正や不祥事が続き、成長を阻む要因となって
いくのではないでしょうか。

【参考】

資料:経理ドリブン

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