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経営

定期券購入でわかる雇用の現実

通勤交通費(交通機関や有料道路を利用する人に支給する通
勤手当)の非課税限度額は平成28年1月1日以降、150,000円
となっています。多くの企業では一か月単位で通勤交通費
(定期代)を支給していると思います。
定期券には、購入日から有効期間ごとに1か月、3か月、6か
月の3種類があります。その違いは、割引率ということにな
りますが。当然、6か月定期券が割引率が一番よいことにな
ります。割引率は、参考をご確認ください。

そうなると、普通はコストが一番安い6か月定期券を従業員
へ支給することが多くなると考えられますが、現実は、1か
月定期券の支給が、とくに中小企業では多いのではないでし
ょうか。
私が在籍した中小企業では、すべて1か月定期券の支給でし
たが、そのわけは、入退社が非常に多く一か月以上の定期
券を渡すことができないくらい退職者が多かったことです。
なかには、毎日、通常の乗車券を購入してもらい通勤交通
費を後日精算してもらっていた企業もありました。
6か月定期券を渡したら、退職時の精算ができず通勤交通
費の持ち逃げをされてしまう懸念があるからでした。

他方、大手企業では雇用が安定していますから通勤交通費
のコストが一番低い6か月定期券を現物で渡すか、給与と
同時に通勤手当として支給するか、になります。また、退
職時でもきちんと精算ができますので問題が発生すること
は少なかったと思います。今は、どうかわかりませんが、
問題が発生したケースは一回だけだったように記憶します。

このように中小企業と大手企業では、通勤定期券の購入だ
けでも雇用の実態を把握することができます。本来であれ
ば、中小企業ほど長い雇用を期待したいところですが、現
実は相当短い雇用期間になっていることがあります。長く
在籍して人もいるのですが、入れ替わりが激しいところに
大手企業の雇用と大きく違う現実があります。

中小企業ほど人がいない、と経営者が言うことが多いよう
ですが、人は育成していくものであり、その企業の戦力に
なるまでは時間がかかるものです。経験者採用をしては、
こいつもダメ、といって採用を繰り返す経営者自身に問題
があると思われます。経営者自身が、謙虚に従業員に支え
てもらって経営が成り立っていると自覚している企業ほど
人が育ち、企業を支える人材が多くなり、好業績を出して
いくものではないでしょうか。

事務担当の社員は大変な思いをして入退社の手続きをして
います。たかが、定期券ですが、自社の雇用の在り方を考
えてみてはいかがでしょうか。

【参考】

資料:JR東日本
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