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雇用

ジョブ型雇用で非正規雇用と同じ愚をおかす

現在、ジョブ型雇用を推進しようという動きが活発化してい
ますが、それで企業は成長していけるのでしょうか。また、
社員も幸せな仕事人生を送ることが可能なのでしょうか。
こんな疑問が湧いてくる今日この頃です。日本の場合、大手
企業は自社に有利なように制度を運用します。ジョブ型雇用
とは、本来、仕事が先にありその仕事を担当する社員を雇用
することになります。この点、日本企業では、仕事が確立し
ている組織はあるのでしょうが、社会全体でみたとき、その
企業の仕事が社会のなかで標準化されていなければなりませ
ん。今でも経理や人事などは比較的ジョブ型に近いのかもわ
かりませんが、それでも企業間で使用しているシステムや運
用制度はかなりの違いがあるのではないか、と思われます。

日本版ジョブ型は、どうもエリアや業務内容などを限定した
雇用にしようとしているように思えます。理由は、採用時に
必要な労働条件通知書に勤務地や業務内容を記載させること
になるようです。いわば限定社員制を制度化していくように
思われます。
国は、2023年に労働基準法(労基法)の省令を改正しますが、
現在は労働条件通知書に契約締結直後の就業場所だけを書け
ばよいだけですが、改正後は、たとえば「東京都の本社、大
阪市・名古屋市の支社、福岡市の支店」など将来にわたって
勤務する可能性がある場所の明記も求めることになるようで
す。総合職かジョブ限定かによって、ジョブ限定、あるいは
エリア限定の雇用をおこなえば必然的に賃金はあがりにくい
ことになります。もっとも、そのときの賃金相場はあります
が、雇用という立場からみれば、総合職とジョブ限定かつ地
域限定といったジャブ型雇用が想像されます。
この背景には、年金問題などによる定年年齢の引き上げがあ
ると、考えています。

これは2000年代に非正規社員を増やしていくといった雇
用政策と同じことをジョブ型でもやろうとするように、私に
はみえてしまいます。現在、同一労働・同一賃金が労働契約
法で制度化されていますから、非正規と正規社員の賃金格差
は小さくなっていくことが予想されます。そのとき、現状の
人件費をうまく移行するためにジャブ型雇用を利用するよう
に感じているのは、私だけでしょうか。
日本の大手企業は、あくまで総額賃金のなかで人件費を考え
ており、官民あげて目くらましのように現状の賃金水準(総
額人件費)を維持する政策を打ってきます。定年年齢引上げ
の代わりの政策ともいえそうです。
ジョブ型雇用で喜んでいる人たちは、このことをよく理解し
ておかないと、非正規社員と同様に低賃金のなかで働くこと
になるのかもわかりません。

企業においては低賃金化ではなく、いかに付加価値が高い製
品やサービスができるかを考え、社員に対しては、それに見
合う賃金を払いながら企業をどのように成長、発展させてい
くかを考えておくべきでしょう。とくに高い付加価値を生み
出せる中小企業こそが、国などの労働政策を超える高いレベ
ルの雇用を維持するこによって、はじめて創造性が高い仕事
へ結びつけていくことができるのだ、と先ず経営者が自分が
やることを信じることではないでしょうか。

【参考】

資料:ツギノジダイ
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