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労働基準法

懲戒処分の公表

企業では懲戒処分を受けた社員名や処分内容を公表しますが、
懲戒処分を科したことについて、被処分者の情報や懲戒事由
を社内に公表することは可能かどうかが問題となります。
懲戒該当事由が真実であり懲戒処分自体は有効であったとし
ても、懲戒処分に関する情報が懲戒処分されることで被処分
者の名誉権やプライバシー権といった人格的利益が害される
場合があるという点に注意が必要です。結論からすれば、懲
戒処分の公表は無制限に認められるものではなく、一定の制
約に服することになります。

企業が被処分者の情報を公表する目的としては、「企業とし
てこのような事例は許さずに毅然と対応する」という意思を
示すことにより、社内において同種事例が再発することを防
止し、ひいては社内秩序維持に資することが挙げられます。
このような目的の実現であれば、被処分者の氏名や所属等ま
でを公表せずとも、非違行為の内容と処分の種類のみを社内
公表すれば、目的を達成したといえるのが通常だと考えられ
ます。

判例は、エスエイピー・ジャパン事件 (東京地裁 平14年9
月3日判決) では、懲戒解雇の事実を実名とともに、約1100
人宛ての社内メールや50人規模のミーティングの場において
公表したことの違法性について争われました。裁判所は、「
原告らの辞職の効力発生後に社内の綱紀粛正を図るだけでは
足りず、原告らを懲戒解雇した上、そのことを広く社員に通
知しなければならない必要があったとまでは認められ」ない
と判示し、会社の公表行為が不法行為に該当するとして、損
害賠償の支払いを命じています。

裁判例は、いずれも懲戒解雇自体は有効であるものの、公表
行為については違法性が肯定され、使用者側に損害賠償の支
払い義務が課せられている点に留意する必要があります。
懲戒処分に伴い被処分者の氏名等を公表する際には、公表す
るやむを得ない事情があるか、公表の方法として妥当な態様
といえるかという観点から慎重に対応を行うことが求められ
ます。
上記内容は、人事・労務トラブルゾーン70より記載。

このような内容は、企業側からすれば、釈然としましません
が、現在の状況では公表に関して慎重な対応を講じておいた
ほうがよさそうです。もっとも、創業経営者は、いかりに任
せて公表したりしますが、そのときは、損害賠償の義務が生
じることを理解したうえで公表する覚悟が必要なのかもわか
りません。
法の要請を受けた、と私が考える懲戒処分の実際の公表例で
す。

懲戒処分の公表例 東京大学

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