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経営権

部長や課長が部下に業務命令できる根拠とは

多くの企業では、部長や課長がいるものですが、この方たち
は部下に仕事を命じることできます。その理由はと、聞かれ
とほとんどの人は職務権限があるからです、と答えるでしょ
う。もちろん、それも理由の一つですが、より本質的な理由
はと、尋ねられとどうでしょうか。

その前に「経営権」という言葉があります。
そもそも経営権は法律に書いていない権利ですが、最高裁は、
「わが国現行の法律秩序は私有財産制度を基幹として成り立
っており、企業の利益と損失とは資本家に帰する。従って企
業の経営、生産行程の指揮命令は、資本家又はその代理人た
る経営担当者の権限に属する。労働者が所論のように企業者
と並んで企業の担当者であるとしても、その故に当然に労働
者が企業の使用収益権を有するのでもなく、経営権に対する
権限を有するのでもない」
(昭25年11月15日大法廷判決、山田鋼業吹田工場事件 )

簡単に言えば、株主から委任された経営者に経営権があると
いうことです。次の判決等によって経営権は明白になってい
ます。
「経営権と労働権との対等を保障しているわが国現行の法律
秩序からすれば、両者の間に労働協約による特別の定めがな
い限り、企業の経営、生産行程の指揮命令は資本家又はその
代理人たる経営担当者の権限に属する」
(昭27年2月22日第二小法廷判決、愛光堂印刷事件 )

経営権の具体的内容としては、人事、経理 、営業 、組織 、
職制、生産、服務規程、安全管理等があります。
管理職(部長や課長)は、経営権の一部を分担行使するため
に定められている職制(職務を分担する制度)を通 じて各権
限を行使することになります。ですから、部長や課長は、経
営者の権限の一部である指揮管理権限を行使して部下に業務
命令ができることになります。当然、職制上相応な責任が発
生することになります。部長や課長になったと喜んでばかり
おれないのではないでしょうか。
管理職は、部下を管理監督し、業務命令を出し、企業が目指
す目標に向かって仕事をしてもらわなければなりません。大
きな権限をもっているのですから、安全管理などを含め適法
な事業遂行等、真摯な姿勢で仕事をしていくことが求められ
るのは言うまでもありません。

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