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労務管理

副業について考えてみる

今の時代、副業に関して各企業の条件が整ってきたようです
が、過去に人事を担当していた者としては、懸念材料があり
ます。副業自体は、各企業の判断で許容範囲を決めればよい
と思います。
他方、 厚生労働省のモデル就業規則や副業ガイドラインの内
容を踏まえると、倫理的な観点からという理由のみで「風俗
店や接待を伴う飲食店」での副業を禁止することはできない、
と考えられます。
労働者の職業選択の自由に対する過度な制約は、職種に対す
る差別であるとして社会的に取り上げられる可能性がありそ
うです。人事担当者には、非常にむずかしい対応が迫られま
す。

私がもっとも危惧していることが労働時間の問題です。副業
をおこなっている場合でも社員の労働時間管理が必要になり
ます。
私が経験した中で兼業を許可している社員がいる場合、この
ケースでは非正規社員が対象でしたが、あくまで8時間労働
で週40時間以内+適法な時間外労働と規定されて運用され
ていました。この場合、企業側は労働時間管理を正社員同様
に管理することが、なんとか可能となるのでしょうが、一部
には企業側に無断でオーバーワークになっていることがある
と、想像されます。

副業が正社員ともなれば、どのように労働時間管理をするか、
相当頭を悩ませることになります。労働時間は、労働災害と
も密接な関係がありますから、風俗店や接待を伴う飲食店の
仕事に限らず副業を含めて全体的な労働時間管理ができるの
だろうか、という懸念です。

副業・兼業をする場合の労働時間管理について、労基法38条
は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働
時間に関する規定の適用については通算する」と規定してい
ます。この「事業場を異にする場合」には、使用者を異にす
る事業場において労働する場合をも含むとされています。
(昭 23. 5.14基発769)
前記ガイドラインは、本業・副業ともに「労基法に定められ
た労働時間規制が適用される労働者」といえる場合には、労
働時間の通算が必要になる旨が明記されています。
なお、フリーランスや個人事業主等のように労基法が適用さ
れない場合や、管理監督者等のように労働時間規制が適用さ
れない場合には、労働時間の通算が不要です。
結論としては、会社として自社の従業員が副業・兼業をして
いることを把握した場合には、対象者から副業の内容や就労
日数、就労時間等について聴取し、適切に労働時間の管理を
する必要があります。また、自社と副業や兼業先との労働時
間を通算した結果、あまりに長時間とならないよう配慮する
ことが求められます。

実務上は、多くの企業で形式的な管理が横行しているのでは
ないか、と思われ、副業・兼務における労働災害の裁判例が
でるまで副業・兼業に関する労務管理の課題は残ったままと
なるのかもわかりません。
もっとも、中小企業では、このような懸念などなく、副業し
ている実態があると思われます。
下図の副業の実態は、隠れ副業・兼業を除けば、まだまだ少
数派です。
前記のガイドラインからすれば、当然の帰結でしょうか。

【副業資料】


資料:doda
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