経営には、必ず質が問われる。中小企業を上場させる場合、と
くに問題があるのがグレイゾーンでの事業活動だ。ホワイトゾ
ーンに移行することによって、ライバル企業に対する優位性を
維持できなくなることがある。
市場シェアを低下させてしまう可能性もでてくる。上場に対す
る意識が低ければ、グレーゾーンを残して上場させたくなるも
のだ。
実際、グレーゾーンを残して上場できた企業は、その後、問題
を噴出させた。メディアを賑わせた企業だったが、10年ほどで
消えていった。私はかなり厳しい議論をしてきたからだろう、
半年ほどで首なった。私のレベルで理解できていることなのだ
が、経営者とその取り巻きは自信満々だった。
ホワイトゾーンでビジネスをしようとすると、ソニー子会社時
代ではないが、どうしても手間や経費が増える。中小企業の場
合、既存の事業構造や組織構造を維持することができなくなる
ケースが多いだろう。
また、グレイゾーンの事業運営からホワイトゾーンへの経営転
換をしようとすると、多くの取り巻きから、いうことはわかる
が、儲からなくなる、という声が必ずでる。 社内には、無言の
圧力をかけてくる人たちも多い。
だからこそ、事業で好業績をだしていく経営を創業から築いて
いく以外にない。稼ぐ力がなければ、ホワイトゾーンで勝負す
ることはなかなかむずかしい。現時点で一応うまく回っている
ビジネスにも慣性の法則が働いている。この点で根本的な修正
を加えることは至難の技となる。
経営力とは、経営者の姿勢でもある。